経営者が知っておきたいビジネス理論入門(第92回)

ユニクロは自販機で苦戦する米市場を切り開けるか?

2017.08.15 Tue連載バックナンバー

アメリカで苦戦するユニクロ

 ユニクロを展開するファーストリテイリングの2017年8月期の第3四半期の決算発表によれば、売上収益が前年同期比3%増の1兆4,779億円、営業利益は23.9%増の1,806億円、最終利益に至っては69.1%増の1,201億円と好調な業績が浮き彫りとなりました。

 その好調な決算の背景には海外事業の成長があり、特に東南アジアやオセアニア、韓国などは営業利益が倍増するなど、成長の牽引役となっていることが伺えます。

 このように多くの海外マーケットでユニクロの存在感は増す一方で、なかなか思うように開拓できていないのがアメリカ市場。

 ユニクロがアメリカに本格的に進出を始めたのは2006年ですが、2011年にはアメリカの中心地、世界屈指の高級店が軒を連ねるニューヨーク5番街に、当時としては最大規模の販売面積を誇る超巨大な旗艦店を出店して話題を一身に集めます。同時に、地下鉄や2階建てのバス、タクシーなど街の至るところを“ジャック”して広告を展開。一気にファストファッションの本場アメリカでブランドを高めるプロモーション戦略に打って出ます。

 ところが、本格的な進出から10年以上経過したアメリカでの展開は現在でも50店舗程度に留まり、赤字を解消できないなど、思うような攻略ができていないのが現状なのです。

 

ユニクロに巻き返しの秘策はあるのか?

 そこで、なかなか攻略できないアメリカ市場を切り開こうとユニクロが実験的に開始したのが自動販売機『Uniqlo To Go』。

 まず、2017年8月2日には、カリフォルニア州のオークランド空港に主力製品のヒートテック・シャツとウルトラ・ダウンジャケットが購入できる自動販売機『Uniqlo To Go』の1号機を設置します。その後も、8月10日には、ロサンゼルス近郊にあるショッピングセンター『ハリウッド&ハイランド』、17日にはテキサス州のヒューストン空港、22日にはニューヨークにあるショッピングモール『クィーンズ・センター』と立て続けに自動販売機を設置予定で、今のところは全米の合計10都市で『Uniqlo To Go』を展開して販売網を広げていく計画です。

 設置場所も、空港を始めとして、今後は駅やショッピングモール、映画館など多くの人が集まる施設で『Uniqlo To Go』を展開し、アメリカ市場の攻略を目指すことになります。

 

果たしてユニクロは自動販売機で成功できるのか?

 このユニクロの前代未聞の取り組みで、苦戦の続くアメリカ市場を切り開くことはできるのでしょうか?

「自動販売機によるアメリカ市場の開拓は必ずや失敗する」と厳しい予想をする専門家の意見もあるようですが、私自身は次のような理由から、非常に賢い打ち手だと感じています。

 まず一点目は、… 続きを読む

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安部 徹也

安部 徹也

株式会社 MBA Solution 代表取締役

株式会社 MBA Solution 代表取締役。2001年MBAを取得後、経営コンサルティングの事業で起業。近著に『最強の「イノベーション理論」集中講義』 (日本実業出版社)や『ぐるっとマーケティング』(すばる舎リンケージ)などがある。

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