経営者が知っておきたいビジネス理論入門(第90回)

『551 HORAI』を成功に導いた“大阪”へのこだわり

2017.07.21 Fri連載バックナンバー

 新大阪から新幹線に乗る際に、「551 HORAI」という白の背景に赤字で目立つロゴの入った手提げ袋を見かけたことがある人はきっと多いことでしょう。

 中身は豚肉の旨味と玉ねぎの甘みがとてもマッチした、ボリュームのある豚まん。

 551 HORAI(株式会社蓬莱)は、大阪を中心に60店舗ほどを展開する1945年創業の中華料理の老舗であり、その豚まんは1日に15万個以上売れるなど、大阪名物のお土産として多くの人に選ばれています。

 今や、「551 HORAI」は大阪だけに留まらず、全国にその名をとどろかせています。各地のデパートから物産展への出店オファーが殺到し、期間限定でオープンする販売店には行列が絶え間なく続いているのです。

 このように今では全国区の知名度を誇る551 HORAIですが、創業の地にこだわり、催事場などでの期間限定の出店を除けば、東京などより大きなマーケットへ進出する気配すらありません。

 その理由は、創業の地である大阪に深い愛着を感じていることに加えて、「お客さまにできたての豚まんを食べていただくという創業からに思いを頑固に守り、セントラキッチンから150分以内の地域に限定して出店しているとのこと。

 この551 HORAIのビジネスに対するこだわりが成功の大きな要因といえますが、経営戦略的にも理にかなっているといえます。

 今回は、あえて全国展開せずに、特定の地域で成功を収め続ける企業の経営戦略の理を、掘り下げていきましょう。

 

1.ブランドを築きやすい

 まず一つめの利点は、事業の範囲を特定の地域に絞り込むことによって、その市場でナンバーワンになることが容易になることが挙げられるでしょう。

 551 HORAIは、大阪という限定的な地域でナンバーワンになることによって人々の心にブランドとして植え付けられ、事業を成功に導くことが容易になります。創業から70年を超えて大阪の人々に愛され続け「豚まんなら551 HORAI」というブランドイメージが定着すれば、何度もリピートしてもらえます。また、“大阪名物”という地位を確立することによって、「大阪のお土産なら551 HORAI」という重要なお土産需要を取り込むこともできるようになるのです。

 

2. 高い利益率を実現しやすい

 二つめの利点として、特定の地域に集中することにより、高い利益率を実現しやすいことも挙げられるでしょう。

 特定の地域に集中的に出店する戦略は「ドミナント戦略」と呼ばれていますが、このドミナント戦略のメリットとして、出店地域での圧倒的な… 続きを読む

全文(続き)を読む

続きを読むにはログインが必要です。

まだ会員でない方は、会員登録(無料)いただくと、続きが読めます。

連載記事

ユニクロは自販機で苦戦する米市場を切り開けるか?
安部 徹也

安部 徹也

株式会社 MBA Solution 代表取締役

株式会社 MBA Solution 代表取締役。2001年MBAを取得後、経営コンサルティングの事業で起業。近著に『最強の「イノベーション理論」集中講義』 (日本実業出版社)や『ぐるっとマーケティング』(すばる舎リンケージ)などがある。

このページの先頭へ
Bizコンパス公式Facebook Bizコンパス公式Twitter