経営者が知っておきたいビジネス理論入門(第89回)

かっぱ寿司、前代未聞の食べ放題で描く復活シナリオ

2017.06.27 Tue連載バックナンバー

試験的に食べ放題を開始したかっぱ寿司

 回転寿司チェーン大手の一角であるかっぱ寿司が、お寿司の食べ放題を開始しました。

 ただ、今回の食べ放題は試験的な意味合いが強く、6月13日から7月14日の平日午後2時から5時まで、全国の20店舗限定での実施となります。

 お寿司を始め、ラーメンやお味噌汁といったサイドメニュー、デザートなど80種類以上が70分間食べ放題で、ドリンクバーを含めて、価格は税抜きで男性が1,580円、女性1,380円、65歳以上は980円、そして小学生未満は無料となっています。

 また、希望すれば、ビールなどのアルコールも680円の追加で飲み放題となります。

 この回転寿司チェーンで前代未聞の食べ放題を数多くのメディアが取り上げると、“無料の宣伝効果”を発揮し、6月13日の開始と同時に多くの顧客が殺到して待ち時間が10時間以上に達するなど、かっぱ寿司としては今のところは予想を大きく上回る結果につながっているといっても過言ではないでしょう。

 

なぜ、かっぱ寿司は食べ放題を実施したのか?

 大手回転寿司チェーンでは、これまでどこの企業も実施してこなかった食べ放題ですが、なぜかっぱ寿司は敢えて新たな試みに挑戦する決断を下したのでしょうか?

 その背景には、大手回転寿司チェーンの中で唯一業績不振に陥っているという事情があります。(参照:『激化する回転寿司戦争、勝ち残るのはどこか?』)

 2017年3月期の決算は、売上高が前期比1.1%減の794億円、営業利益は赤字に転落してマイナス5億円、そして最終損益に至っては減損損失や法人税の負担が大きくのしかかり58億円という巨額の赤字を計上してしまったのです。

 このような危機的な状況を打開すべく、食べ放題という新たな試みを取り敢えず20店舗で実験し、結果を検証して集客や収益向上に大きく寄与すると判断すれば、全国340を超える店舗に導入して巻き返しを図ろうという戦略なのです。

 

食べ放題で赤字は拡大しないのか?

 ただ、気になるのは「食べ放題を実施することによって、コストが売り上げを上回り、赤字が拡大するのではないか?」ということでしょう。

 ただでさえ、回転寿司業界の原価率は高いという構造的な問題を抱える業界なので、大食漢の顧客が大挙して押し寄せれば、文字通り“食い潰される”可能性も否定できません。

 そこでかっぱ寿司が考えたのが、… 続きを読む

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安部 徹也

株式会社 MBA Solution 代表取締役

株式会社 MBA Solution 代表取締役。2001年MBAを取得後、経営コンサルティングの事業で起業。近著に『最強の「イノベーション理論」集中講義』 (日本実業出版社)や『ぐるっとマーケティング』(すばる舎リンケージ)などがある。

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