経営者が知っておきたいビジネス理論入門(第88回)

東日本で販売終了「カール」を全国区に戻す鍵とは?

2017.06.14 Wed連載バックナンバー

突然の販売終了のニュースと共に店頭から姿を消した『カール』

 明治は5月25日、スナック菓子『カール』の販売に関して、8月生産分を最後に中部地域以東の東日本での販売を終了し、西日本地域のみでの販売とすることを発表しました

 この予期せぬ突然のカール販売終了のニュースはSNSなどを通じて急速に駆け巡り、販売終了までに今一度カールを食べておこうと買いだめに走る人が殺到し、スーパーなどの店頭からカールが一斉に消える異常事態となりました。

 ネットスーパーでも売り切れが続出し、東日本での販売終了を待たずして入手しにくい状況が続いています。

 この品薄状態にネットではカールが高値で取引され、アマゾンではカールうすあじ(68g)が一袋350円で販売されています。

 このように突然の“カールショック”から、ここしばらくは入手しづらく、どうしても食べたい人はプレミアム価格で購入せざるを得ない状況が続くことが見込まれます。

 

 明治がカールの東日本販売終了を決断した背景

 カールは1968年、トウモロコシを原料に、日本で初めて“甘くない”スナック菓子として誕生します。以来、およそ50年間、「それにつけてもおやつはカール」のキャッチフレーズやマスコットキャラクターである『カールおじさん』などを通じて多くの人に親しまれてきました。

 また、2016年11月27日に放送された、テレビ朝日の『お菓子総選挙2016』では、『カール チーズあじ』が堂々の12位にランクインするなど、国民的な人気スナック菓子の地位を確固たるものとしているといっても決して過言ではありません。

 それでは、なぜ明治は広く国民に愛されるカールの東日本地域の販売終了を決断したのでしょうか?

 その理由は、明治が公表しているように、『市場環境や顧客のニーズの変化に伴う競争優位性の低下、長期的な販売規模の低迷による収益性の悪化』にあります。

 1990年代のピーク時は190億円程度あった売り上げが最近ではおよそ60億円と3分の1以下にまで落ち込んでいたのです。

 お茶の間で親しまれた『カールおじさん』のテレビCMも2014年には終了。今後も売り上げが上向く見込みも立たないために、当初は全面的な販売終了を検討されていました。ただ、これまで築いてきたブランドをなくすことも惜しまれるために、現在5か所ある工場を愛媛の1か所に集約し、配送コストのことを考えて西日本で『チーズあじ』と『うすあじ』のみを販売するという苦渋の決断を下したのです。

 

なぜ、カールの売り上げは減少したのか?

 “市場環境や顧客のニーズの変化に伴う競争優位性の低下”によって、販売不振に陥ったカールですが、具体的にはどのような原因が背景にあるのでしょうか?

 市場環境でいえば、日本では少子高齢化が加速的に進み、スナック菓子のメインターゲットである子供が少なくなったことから、お菓子業界を取り巻く環境は厳しいと思われがちですが、実のところお菓子マーケットは… 続きを読む

全文(続き)を読む

続きを読むにはログインが必要です。

まだ会員でない方は、会員登録(無料)いただくと、続きが読めます。

連載記事

いきなりステーキに敗北?ケネディの戦略ミスとは
安部 徹也

安部 徹也

株式会社 MBA Solution 代表取締役

株式会社 MBA Solution 代表取締役。2001年MBAを取得後、経営コンサルティングの事業で起業。近著に『最強の「イノベーション理論」集中講義』 (日本実業出版社)や『ぐるっとマーケティング』(すばる舎リンケージ)などがある。

このページの先頭へ
Bizコンパス公式Facebook Bizコンパス公式Twitter