経営者が知っておきたいビジネス理論入門(第85回)

写ルンです、チェキ、かつてのヒット商品が売れる訳

2017.04.28 Fri連載バックナンバー

今、再び脚光を浴びている『写ルンです』とは?

 富士フイルムの『写ルンです』が再び注目を浴びています。

 『写ルンです』は、1986年7月1日に発売が開始されたレンズ付きフイルムで、ピークの2001年には世界中で年間1億台を超える販売数を誇った大ヒット商品。この『写ルンです』は、“レンズ付きフイルム”という名称が示す通り、フイルムにレンズを取り付けるという1986年当時としては画期的なアイデアで製品化された商品ともいえます。

 これまで世の中になかったものだけに、ネーミングに関してもさまざまな議論が成されたようで、当初は当時の人気アニメ『忍者ハットリくん』にあやかって『パッ撮りくん』という商品名での発売が検討されていました。

 ところが、経営陣への最終段階のプレゼンテーションの際に、これまで見たことのないレンズ付きフイルムを手にしたある役員が「これで本当に写るのかね?」と疑問を口にしたところ、開発担当者は即座に「写るんです!」と回答したそうです。

 この「写るんです」というフレーズが一言で製品の特徴を表すうえに、覚えやすく語呂もいいということで、最終的に“るん”の部分をかつて流行語として一世を風靡した“ルンルン気分”と掛けて『写ルンです』に決まったというエピソードも残っています。

 かくして、世界初のレンズ付きフイルムは、その抜群のネーミングと相まって瞬く間に世の中に受け入れられ、フラッシュや望遠、パノラマ、防水などの多機能化、そしてフイルムの高画質化といった進化を遂げながらより多くの人々、そしてより多くのシーンで利用される“国民的カメラ”の地位まで登り詰めていきました。

 ところが、2000年代に入りデジタルカメラやカメラ付き携帯電話、スマートフォンの普及が急速に進むと、フイルムカメラの需要は激減。『写ルンです』も、最盛期の5%程度の販売台数までの落ち込みを余儀なくされていたのです。

 

なぜ、『写ルンです』は再び売れるようになったのか?

 それでは、なぜ大幅な売り上げの減少に見舞われた『写ルンです』は、再び脚光を浴びるようになったのでしょうか?

 大きな要因としては、… 続きを読む

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安部 徹也

株式会社 MBA Solution 代表取締役

株式会社 MBA Solution 代表取締役。2001年MBAを取得後、経営コンサルティングの事業で起業。近著に『最強の「イノベーション理論」集中講義』 (日本実業出版社)や『ぐるっとマーケティング』(すばる舎リンケージ)などがある。

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