経営者が知っておきたいビジネス理論入門(第82回)

激化する回転寿司戦争、勝ち残るのはどこか?

2017.03.16 Thu連載バックナンバー

 昔は高級料理の代名詞だった寿司も、回転寿司の登場で私たちの身近な料理となりました。その回転寿司の市場規模は今や5,700億円に達し、この10年で1.5倍と急成長を果たして、浮き沈みの激しい外食産業の中で順調に拡大を続けています。

 業界の主要プレーヤーは、スシロー、くら寿司、はま寿司、かっぱ寿司であり、この4社の売り上げを足せば4,000億円を超えていることから、寡占化が進んでいる業界といっても過言ではないでしょう。

 今回はこの回転寿司業界に焦点を当て、主要プレーヤーの戦略や動向を分析しながら業界の今後を占っていくことにしましょう。

 

再上場で成長の加速を目論むスシロー

 まず、回転寿司業界で売り上げトップに輝くのがスシローです。2016年9月期の売り上げは1,447億円にも上ります。

 スシローは3月30日付で株式を再上場することが決定しましたが、これまで経営権を巡って紆余曲折を経てきた歴史があります。

 2008年当時、創業者一族の内紛が起こり、牛丼のすき家を展開するゼンショーに発行済み株式の27.2%が渡るという事態にまで発展します。ゼンショーは同じ時期にかっぱ寿司の発行済み株式の31%超を取得しており、両社の筆頭株主として回転寿司業界の再編を目論んでいたのです。

 ところが、当時回転寿司業界でトップのかっぱ寿司がスシローとの連携を画策するゼンショーの動きに強く抵抗し、業務資本提携の解消に踏み切ります。一方のスシローもゼンショーによる支配から逃れるために、ホワイトナイト(敵対的買収者に対抗し、友好的に買収する会社)として、投資ファンドのユニゾン・キャピタルを味方に付け、MBO(経営陣による自社買収)による株式の非公開化で経営の主導権を奪い返す戦略に打って出ます。

 その後、ユニゾン・キャピタル系のエースホールディングスが公開買い付けを実施。発行済み株式の64.1%を取得してスシロー株は非公開となり、ゼンショーの影響力を排除することに成功したのです。

 ユニゾン・キャピタルは、スシローの株をイギリスの投資ファンドであるベルミラに全ての株を10億ドルで売却。日本円にして540億円を超える利益を獲得します。そして、今回はベルミラが投資の利益を確定させるべく、再び東証に上場するという出口戦略を実行に移したのです。

 上場にあたっては、3月1日に全国農業協同組合連合会(JA全農)が最大40億円の出資を検討していると正式に発表。全農が外食大手に出資するのは初めてのことであり、JAが大株主になればコメを始めとした食材の安定供給を確保することも可能です。

 また、上場によって調達した資金を店舗の拡大や海外進出に充てることもできますし、上場によって資金調達手段が多様化し、低いコストで多額の資金を調達できるようになることも競争には有利に働くことから、スシローはさらなる成長を実現して回転寿司業界トップの地位を確固たるものとすることができそうです。

 

クオリティの高いネタと豊富なメニューで好調のくら寿司

 回転寿司業界では、2位のくら寿司も好調を維持しています。

 くら寿司では、化学調味料や人工甘味料、合成着色料、そして人口保存料などを一切使わない無添加の寿司が売りであり、一皿100円といえどもその品質の高さが顧客の支持を得ている要因です。また、食べ終わった皿を返却口に投入すると、… 続きを読む

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安部 徹也

株式会社 MBA Solution 代表取締役

株式会社 MBA Solution 代表取締役。2001年MBAを取得後、経営コンサルティングの事業で起業。近著に『最強の「イノベーション理論」集中講義』 (日本実業出版社)や『ぐるっとマーケティング』(すばる舎リンケージ)などがある。

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