経営者が知っておきたいビジネス理論入門(第81回)

業績低迷から上場廃止したアデランスの取るべき戦略

2017.02.28 Tue連載バックナンバー

業績不振から上場廃止を決定したアデランス

 アデランスの株式が2月10日付で上場廃止となりました。

 アデランスは、業績不振の経営を立て直すため、スカイマークの再建にも関わっている投資ファンドに支援を要請。経営陣が自社株式を買い取るMBO(Management Buyout)という方法で上場を廃止して、引き続き現経営陣が経営を担っていく計画です。

 直近の決算では、2017年2月期の第3四半期まで売上高が前年同期比6.2%減の552億円、最終利益は連続赤字で11億円にまで拡大。キャッシュもこの1年で120億円から66億円と54億円近く減少しているため、再建へ向けて待ったなしといっても過言ではないでしょう。

 

混迷を繰り返すアデランスの経営

 アデランスは1969年に設立されたかつらメーカーです。2000年頃までは積極的なテレビCMなどを背景に、右肩上がりで成長を続けてきましたが、2008年以降アメリカのヘッジファンドであるスティールパートナーズが株を買い占めて大株主になると、経営が混迷。スティールパートナーズは、業績低迷を理由に創業者の根本社長を解任する株主提案を行うと、株主総会で承認され、根本氏は社長の座を追われます。

 後任として日本ペプシコーラ社で社長を務めた大槻氏が社長に就任すると、停滞する事業の改革に着手。2010年には社名をアデランスからユニヘアーに変更するなど、新たな会社として再出発を図りますが、業績は思うように上向かず、逆に2011年には最終利益で232億円という巨額の赤字を計上してしまいます。

 このさらなる経営不振の責任を取らされる形で大槻社長も解任され、創業者の根本氏が再び社長に返り咲き経営のかじ取りを任されるという迷走が続くのです。

 そして、根本社長が復帰後は、売り上げも向上の兆しを見せ、利益はV字回復を果たすなど、経営も軌道に乗り始めたと思われた矢先に、2016年2月期には最終赤字が19億円に達するなど、再び経営に暗雲が立ち込めてきたのです。

 

なぜアデランスは再び経営不振に陥ったのか?

 口コミに頼れないかつらのような商品は、大きな規模で事業展開する場合には大々的なプロモーション戦略を欠かすことはできません。アデランスも年間の広告費を100億円以上も投入してテレビCMなどを中心にプロモーションを展開し、新規顧客の獲得に結び付けていました。

 ところが、ここ最近テレビCMの効果が著しく悪化し、多大な経費をかけても新規顧客を獲得することが難しくなっていたのです。

 一つの要因としては、… 続きを読む

全文(続き)を読む

続きを読むにはログインが必要です。

まだ会員でない方は、会員登録(無料)いただくと、続きが読めます。

連載記事

いきなりステーキに敗北?ケネディの戦略ミスとは
安部 徹也

安部 徹也

株式会社 MBA Solution 代表取締役

株式会社 MBA Solution 代表取締役。2001年MBAを取得後、経営コンサルティングの事業で起業。近著に『最強の「イノベーション理論」集中講義』 (日本実業出版社)や『ぐるっとマーケティング』(すばる舎リンケージ)などがある。

このページの先頭へ
Bizコンパス公式Facebook Bizコンパス公式Twitter