経営者が知っておきたいビジネス理論入門(第74回)

なぜ同じ状況でミスドは負け、スタバは勝ったのか?

2016.11.18 Fri連載バックナンバー

苦戦するミスタードーナツ

 ミスタードーナツが苦戦しています。

 11月11日に公表された有価証券報告書では、ミスタードーナツを運営するダスキンのフードグループの第2四半期の売上高は203億円と前年同期比18億円のマイナス、営業損益も前年同様赤字となり、損失幅は2億円ほど拡大しておよそ6億円の営業損失を計上してしまいました。

 『クロワッサンマフィン』を始めとした新製品や、「こんなドーナツがあったらいいな」というお客さまの夢を形にした『夢のドーナツフェア』、そしてドーナツ食べ放題の『ドーナツビュッフェ』などのサービスが好評だったものの、不採算店の大量閉鎖と新しいコンセプトの店舗改修のコストがかさみ、減収減益に終わってしまったのです。

 ミスタードーナツはこの苦境を脱するために、11月8日から8割近くの商品を値下げするという“最終手段”に打って出ます。これまでは『100円セール』で顧客の購買意欲を高めてきましたが、人気商品のポン・デ・リングを130円から100円に値下げするなどして、常時低価格で販売し、いつ行ってもミスタードーナツは安いというイメージを植え付けて、購入点数や購入頻度を高めていこうという戦略に方針転換を図ったのです。

 ただ、従来商品の値下げをしたということは、自社製品にこれまでの価値はないと認めたも同然といえることを考えれば、ミスタードーナツは自らビジネスの失敗、すなわち負けを認めてしまったといっても過言ではありません。

 このミスタードーナツが全面的な値下げという負けを認めた背景には、少なからずセブンイレブンを始めとしたコンビニがドーナツに力を入れ始めたことが影響していることは間違いないでしょう。

 コンビニ各社は、2014年から全国的にドーナツの取り扱いを開始し、セブンイレブンなどは初年度から4億個、そして2016年度には6億個という高い目標を掲げて販売に力を入れてきました。

 ミスタードーナツは、当初こそコンビニのドーナツ市場の参入は停滞する市場の起爆剤と成り得るというウェルカムな姿勢でしたが、売り上げは低下の一途を辿り、遂には値下げという最終手段を取らざるを得ない状況まで追い込まれてしまったのです。

 

好調を維持するスターバックス

 コンビニが異業種に攻め込んだのは、何もドーナツが初めてではありません。コーヒーなどは、コンビニがドーナツよりもさらに力を入れて推進している戦略商品といえます。たとえばセブンイレブンは、2013年1月に1杯わずか100円で淹れ立てのコーヒーが飲めるセブンカフェを開始。わずか1年程で… 続きを読む

全文(続き)を読む

続きを読むにはログインが必要です。

まだ会員でない方は、会員登録(無料)いただくと、続きが読めます。

連載記事

任天堂の例に見る、なぜ「復刻版」は売れるのか?
安部 徹也

安部 徹也

株式会社 MBA Solution 代表取締役

株式会社 MBA Solution 代表取締役。2001年MBAを取得後、経営コンサルティングの事業で起業。近著に『最強の「イノベーション理論」集中講義』 (日本実業出版社)や『ぐるっとマーケティング』(すばる舎リンケージ)などがある。

このページの先頭へ
Bizコンパス公式Facebook Bizコンパス公式Twitter