経営者が知っておきたいビジネス理論入門(第70回)

『シン・ゴジラ』に学ぶ停滞したビジネスの再生法

2016.09.20 Tue連載バックナンバー

大ヒットを続けるゴジラシリーズ最新作『シン・ゴジラ』

 日本人にはお馴染みのゴジラシリーズの最新作、『シン・ゴジラ』が大ヒットを記録しています。

 7月29日に封切りとなったゴジラシリーズ第29作目となる『シン・ゴジラ』は、9月12日時点で平成に入ってからのゴジラシリーズ最高となる450万人以上の観客を動員し、65.6億円の興行収入を上げ、今年の映画興行収入ランキング1位をひた走っているのです。

 平成11年の第23作以降、観客動員数に陰りの見えていたゴジラシリーズですが、なぜシン・ゴジラは、大きく観客動員数を伸ばすことができたのでしょうか?

 今回はこの『シン・ゴジラ』の成功の背景に迫っていきたいと思います。

 

ゴジラシリーズの新たな挑戦

 この『シン・ゴジラ』の大ヒットの背景には、制作陣営の新たな挑戦が挙げられるでしょう。

 脚本と総監督には、『新世紀エヴァンゲリオン』を大ヒットに導いた庵野秀明氏を起用。庵野氏は依頼を受けた際に当初渋っていたものの、これまでとは全く違うゴジラ作品を生み出すために庵野氏の力が必要と熱心に説得する制作陣営の熱意にほだされ新たなゴジラ作品を作る覚悟を決めます。

 そして、新たなゴジラ作品として、総監督の庵野氏が徹底的にこだわったのが“リアリティ”。映画内でゴジラに翻弄される日本政府や人々の描写は、まさに現実と寸分違わぬ迫真の演技になっているのも人気の秘訣なのです。それもそのはず、映画の撮影にあたって、自衛隊や官庁、はたまた元防衛大臣の小池百合子氏や東京都知事まで徹底的な取材を敢行し、リアリティをとことん追求していったのです。

 そのリアリティの追求は、ゴジラそのものまでに及び、日本でのゴジラシリーズでは初となる全編フルCGでの制作に踏み切ります。これにより、ゴジラの動きや都市の破壊シーンにおいて、大幅に映像の迫力が増すことにつながり、息を呑むシーンの連続で観客が映画にのめり込むことになるのです。

 このような新たにリアリティを追求したゴジラは、当初より従来のファンではなく、全く新たな顧客を切り開く覚悟で制作が開始されました。そして、この戦略が見事に当たって、従来の子供ばかりでなく、高齢者など幅広い顧客を呼び込み、シリーズのマンネリ化で下降線を辿っていた観客動員数を見事急回復させることに成功したのです。

 

キャラクタービジネスの功罪

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安部 徹也

安部 徹也

株式会社 MBA Solution 代表取締役

株式会社 MBA Solution 代表取締役。2001年MBAを取得後、経営コンサルティングの事業で起業。近著に『最強の「イノベーション理論」集中講義』 (日本実業出版社)や『ぐるっとマーケティング』(すばる舎リンケージ)などがある。

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