経営者が知っておきたいビジネス理論入門(第67回)

ドコモがNOTTVで失敗した理由、dTVで成功した理由

2016.07.29 Fri連載バックナンバー

携帯放送事業から撤退したNTTドコモ

 NTTドコモは、6月末でNOTTV(ノッティーヴィー)サービスを終了しました。

 NOTTVとは、2012年4月に開局した日本初のスマートフォン向け放送局。2011年7月の地上デジタル放送の終了に伴い、空きが生じた周波数帯に次世代携帯放送の枠が割り当てられ、一社のみの参入が認められました。

 この一つの枠を巡ってNTTドコモ陣営とauブランドを展開するKDDI陣営が激しい参入争いを繰り広げた結果、最終的にNTTドコモの事業案が認められ、総務省から放送事業者としての認定を勝ち取って始めたサービスがNOTTVだったのです。

 NTTドコモとしては、携帯電話事業が飽和する中、将来の主力事業と期待する放送事業への参入だっただけに、巨額の資金を投入。ところが、事業は計画通りに進まず、初年度に200億円を超える損失を計上すると、毎年赤字を積み重ね2014年度までには累積赤字がおよそ1,000億円にまで膨れ上がってしまいます。

 当初は単年度の黒字化達成を3年から4年後と見積もっていましたが、会員数が目標600万人に対して150万人程度と大幅な未達の状況では、損益分岐点の売上を超えることさえ難しく、今後の投下資金の回収も見込みが立たないことから、撤退という苦渋の決断に至ったのです。

 

なぜ、NOTTVは失敗したのか?

 なぜ、満を持して参入した放送事業でNTTドコモは失敗してしまったのでしょうか?

 まず、一つの要因としては、視聴に制限が多かったことが挙げられるでしょう。

 NOTTVはテレビ放送なので、視聴するにはチューナーが必要となります。そこでユーザーは、専用の端末かもしくは外部チューナーを購入しなければなりません。ただ、専用の端末はNTTドコモからしか販売されないので、auやSoftbankの携帯電話を利用しているユーザーは別途専用のチューナーを購入して利用することになります。もちろん、auやSoftbankが積極的にNOTTVのサービスを販売することはあり得ないので、販売に苦戦することは当初から想定されていたことといえるでしょう。

 次に二つ目の要因として、… 続きを読む

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安部 徹也

安部 徹也

株式会社 MBA Solution 代表取締役

株式会社 MBA Solution 代表取締役。2001年MBAを取得後、経営コンサルティングの事業で起業。近著に『最強の「イノベーション理論」集中講義』 (日本実業出版社)や『ぐるっとマーケティング』(すばる舎リンケージ)などがある。

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