経営者が知っておきたいビジネス理論入門(第66回)

なぜディズニーランドは苦戦し、USJは好調なのか?

2016.07.21 Thu連載バックナンバー

陰りが見えた東京ディズニーランドと、快進撃を続けるUSJ

 2015年、テーマパーク業界に異変が起こりました。

 世界のテーマパークやミュージアムの入場者数ランキングなどをまとめた「TEA/AECOM 2015 Theme Index & Museum Index」によれば、日本における2015年のテーマパークの入場者数は、東京ディズニーランドが1位をキープしているものの1,660万人と前年比4%減に沈み、これまでの成長に陰りが見える一方で、ユニバーサルスタジオジャパン(以下、USJ)の勢いが急速に増しています。USJは、2015年には来園者数を17.8%増やして1,390万人とし、東京ディズニーシーが前年比3.5%ダウンの1,360万人と集客に苦戦する間に一躍2番手に躍り出たのです。

 入場者数に比例して、業績にも好不調が如実に表れています。東京ディズニーランドと東京ディズニーシーから成る東京ディズニーリゾートは、2015年の売上高が3,992億円と前年から0.8%減少しました。東京ディズニーリゾートの売上高が前年比で減少するのは実に5年振りのことになります。一方USJは、好調な入場者数を背景に売上を伸ばし、最終的には、1,386億円と前年比44.5%の大幅な伸びを記録し、日本の2大テーマパークは明暗を分けた格好となったのです。

 

好不調の背景にあるものとは?

 なぜ、東京ディズニーランドは苦戦し、USJは好調を維持するのでしょうか?

 その原因を多面的に分析していきましょう。

【1】ビジネスモデル

 まず、ビジネスモデルの面から比較してみましょう。

 現在、入場料は東京ディズニーランド、USJ共にアトラクションが乗り放題となるワンデーパスポートが7,400円と同じ価格設定となっています。一方、人気アトラクションの待ち時間を短縮するためのファストパスは、ディズニーランドが無料なのに対して、USJは有料で提供しており、種類や時期に応じて2,400円から8,900円と追加で負担しなければなりません。

 また、年間パスポートは、東京ディズニーランドは63,000円ですが、USJは、除外日があるものが21,800円、除外日のないもので32,800円となっています。つまり、1年間に東京ディズニーランドは9回以上、USJは3回以上行けば、年間パスポートの方がお得になる計算です。

 このような両テーマパークの価格設定を比較してみると、東京ディズニーランドは一旦パスポートを購入して入場すれば、追加負担なく誰でもアトラクションを楽しんでもらおうという意図が見て取れます。これは、一見、顧客にとって、ファストパスが無料で利用できるために満足度の向上につながりそうですが、実際には逆に不満につながっている可能性も考えられます。園内があまりにも混雑していると、ファストパスを獲得するために行列に並ばなければならないことに加え、人気のアトラクションは早々にファストパスが終了し、結局は長時間並んで利用せざるを得なくなるからです。

 一方でUSJは、… 続きを読む

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安部 徹也

安部 徹也

株式会社 MBA Solution 代表取締役

株式会社 MBA Solution 代表取締役。2001年MBAを取得後、経営コンサルティングの事業で起業。近著に『最強の「イノベーション理論」集中講義』 (日本実業出版社)や『ぐるっとマーケティング』(すばる舎リンケージ)などがある。

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