経営者が知っておきたいビジネス理論入門(第65回)

三菱自動車はなぜ不正に走ったのか?その代償とは?

2016.06.30 Thu連載バックナンバー

燃費試験の不正問題で揺れる三菱自動車

 2016年4月に燃費試験の不正問題が発覚した三菱自動車は、6月22日に今年度(2016年度)の業績見通しを発表しました。同社の予測によると、売り上げは16%減少し、1兆9,100億円に、そして営業利益は82%減少するものの250億円の黒字を確保する見込みです。ただ、最終損益は燃費不正関連支出として顧客や取引企業に補償金を支払うなど1,500億円の特別損失を計上し、最終的に1,450億円の赤字に転落すると予想しています。

 三菱自動車にとっては、2009年3月期に549億円の最終赤字を計上して以来、実に8年振りの赤字転落ということになります。

 今回の燃費不正問題が発覚した当初は経営不安もささやかれた三菱自動車ですが、もし今期の最終赤字が1,450億円程度の水準に収まるのなら、現状の三菱自動車の財務基盤は安定しており、耐えることは十分に可能でしょう。

 企業の安全性を示す代表的な指標である自己資本比率は、2016年3月期で46.8%と非常に高い水準にあり、現金も4,534億円保有しています。また、短期に返済しなければいけない負債残高は6,393億円ですが、一方で短期に現金化される資産は9,142億円ありますので、万が一すべての債権者が三菱自動車に返済を迫ったとしても余裕を持ってすべての負債を返済することができる水準にあるのです。

 加えて、万が一のことがあれば三菱グループの一員として支援が見込めるうえ、日産が第三者割当増資で34%の株式を引き受けて全面的なバックアップを約束するなど、当面深刻な経営不安が発生する可能性は低いと思われます。

 ただ、イギリスのEU離脱が国民投票で決定し、通貨や株の乱高下が世界のマーケットで続くなど世界経済は混迷を深めて先行きが不透明なだけに、予想を大幅に上回る業績不振に陥る可能性も否定できず、決して余談を許さない状況にあるとも言えるでしょう。

 

なぜ、不正は起こってしまうのか?

 三菱自動車が不正に手を染めたのは何も今回が初めてではありません。かつて2000年と2004年にリコール隠しの不正を行っていたことが発覚し、三菱ブランドは大きく傷つき業績にマイナスの影響を与えてきました。

 また、不正に走る企業は何も三菱自動車だけでなく、スズキも燃費データを捏造していたことを公表しています。

 それでは悪いこととわかっていながらなぜ不正行為に走ってしまうのでしょうか?… 続きを読む

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安部 徹也

安部 徹也

株式会社 MBA Solution 代表取締役

株式会社 MBA Solution 代表取締役。2001年MBAを取得後、経営コンサルティングの事業で起業。近著に『最強の「イノベーション理論」集中講義』 (日本実業出版社)や『ぐるっとマーケティング』(すばる舎リンケージ)などがある。

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