経営者が知っておきたいビジネス理論入門(第58回)

不振に喘ぐマクドナルドの“潮目”は変わったか?

2016.03.23 Wed連載バックナンバー

創業以来最悪の決算を発表したマクドナルド

 日本マクドナルドホールディングス(以下、マクドナルド)が2月に発表した2015年12月期の決算は創業以来最悪の結果となりました。売上高は前期比14.8%マイナスの1,895億円、そして最終損益は347億円もの巨額の赤字を記録したのです。

 顧客数も2015年12月まで32カ月連続でマイナスとなるなど、顧客流出による業績不振は益々深刻化する一方でした。

 この業績不振に拍車をかけたのが、2014年7月の原材料を輸入する中国の工場で起きた使用期限切れの鶏肉使用事件2015年1月に発覚した異物混入事件。それぞれの事件によってマクドナルドは既存店の売上高が25.1%と38.6%と大幅なマイナスを記録。顧客離れが加速し、大きな赤字につながっていったのです。

 最終損益が2014年に218億円、そして2015年に347億円と2期連続で巨額の赤字に転落したマクドナルドの財務体質は急速に悪化し、2年の間に保有現金は450億円から204億円と246億円も減少したうえに、逆に借入は5億円から256億円と251億円も急増するなど、経営的に厳しい状況に追い込まれることになるのです。

 

業績不振を脱出すべくマクドナルドが実施した対策とその効果は?

 もちろん、マクドナルドはこの窮地を脱するためにさまざまな施策を講じます。

 2015年2月には「ワールドマックハワイ」と銘打ってハワイにちなんだ商品を展開するキャンペーンを実施。個人的には、真冬の2月にハワイにちなんだキャンペーンを実施しても気分が盛り上がらないのではないかと感じましたが、やはり他の顧客も同じような思いだったようで、顧客数は20%弱のマイナス、既存店売上に至っては30%近いマイナスに沈みました。

 また10月には、それまでランチ集客の目玉だった、最低セット価格が350円の昼マックを廃止し、新たに発売する200円マックのハンバーガーとポテト、ドリンクがセットになった500円の「おてごろマック」を投入。発売初日には200円マックの愛称と同じ「エグチ」「バベポ」「ハムタス」という名前やニックネームの人に新商品を無料で提供するキャンペーンを展開しました。しかし、話題になることなく空振りに終わり、マクドナルドのハンバーガーは無料でもいらないということが鮮明になり、顧客の心が離れてしまったことを露呈した形となりました。

 ただ、このような失敗を繰り返しながらも諦めずに続ける地道な努力で潮目が変わってきたことも事実です。… 続きを読む

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安部 徹也

安部 徹也

株式会社 MBA Solution 代表取締役

株式会社 MBA Solution 代表取締役。2001年MBAを取得後、経営コンサルティングの事業で起業。近著に『最強の「イノベーション理論」集中講義』 (日本実業出版社)や『ぐるっとマーケティング』(すばる舎リンケージ)などがある。

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