経営者が知っておきたいビジネス理論入門(第56回)

ハウス食品、CoCo壱番屋買収の背景と成否の鍵

2016.02.17 Wed連載バックナンバー

意図せず不祥事に巻き込まれたCoCo壱番屋

 廃棄処分を依頼したビーフカツが不正に横流しされるという問題が発覚したCoCo壱番屋。社会的に大きな問題としてクローズアップされ、毎日のようにネガティブなニュースとしてCoCo壱番屋の名前が多くのメディアで流されてきましたが、不祥事に対する素早い誠実な対応で逆にCoCo壱番屋の評判は高まる結果になっています。昨年、CoCo壱番屋を運営する壱番屋を買収し、子会社化したハウス食品にとってはいきなり襲って来た試練を適切な対応で乗り切り、ほっと胸をなで下ろしているところでしょう。

 外食産業においては、すき家のアルバイトの酷使問題やマクドナルドの異物混入問題など、一つの不祥事でブランドイメージが一瞬で傷つき、業績の急速な悪化につながるだけに、素早く消費者に対して誠実な対応が求められます。今回のCoCo壱番屋のビーフカツの問題では、本来であれば流通するはずのないCoCo壱番屋のビーフカツを社員がスーパーで見つけて会社に報告するや、すぐさま調査を実施し、廃棄処分を依頼した商品が不正に転売されていることが判明すると即座に発表に踏み切りました。CoCo壱番屋にとっては不利益が生じかねない問題ですが、包み隠すことなく公表することで、消費者から食の安心安全に関して信頼できる企業という評価を受けることにつながったのです。

 このようなCoCo壱番屋の消費者に対する誠実な企業文化は、創業者である宗次(むねつぐ)夫妻によって植え付けられたものといえるでしょう。

 

創業者の宗次夫妻によって生み出され、育てられたCoCo壱番屋

 CoCo壱番屋は現在1,400店舗以上を展開し、カレー専門店としては日本で圧倒的な首位に立っていますが、その創業は1978年まで遡ります。

 もともと不動産関連の会社に勤めていた宗次徳二氏は、同じ会社で同僚だった直美氏との結婚を機に、1973年に不動産仲介業で独立します。ただ、不動産収入は不安定だったために、それを補うべく日々現金収入が見込める喫茶店「バッカス」を1974年にオープンさせたのです。この喫茶店事業で接客業の面白さに目覚めた宗次夫妻は本業の不動産仲介業を廃業し、喫茶店の経営にのめり込んでいきます。翌1975年には2号店として、「浮野亭」をオープン。そして3号店として当時お客さまに評判だった直美氏が作ったカレーを専門に提供する「カレーハウスCoCo壱番屋」を1978年に開業させるに至ったのです。

 宗次夫妻の経営方針は徹底的に顧客の視点に立ったものでした。社長の徳二氏は、毎朝5時前に出社し、… 続きを読む

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安部 徹也

安部 徹也

株式会社 MBA Solution 代表取締役

株式会社 MBA Solution 代表取締役。2001年MBAを取得後、経営コンサルティングの事業で起業。近著に『最強の「イノベーション理論」集中講義』 (日本実業出版社)や『ぐるっとマーケティング』(すばる舎リンケージ)などがある。

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