経営者が知っておきたいビジネス理論入門(第54回)

ラオックスvs.ビックカメラ 爆買いを巡る新旧の争い

2016.01.21 Thu連載バックナンバー

日本の小売業者の業績に大きな影響を与える中国人旅行客の“爆買い”

 アベノミクスによる急激な円安や政府による観光アピールが功を奏し、このところ著しく訪日外国人が増加しています。日本政府観光局の発表によれば、2015年1月から11月までの11か月間でおよそ1,800万人に達し、前年同期間比で147.5%の高い伸びを記録しているのです。その中でも特に著しい伸びを示しているのが中国人旅行客。この11か月間で日本を訪れた中国人の数はおよそ465万人と前年同期間比209.4%と倍増し、訪日外国人の中でダントツのトップに躍り出た格好です。

 また、訪日外国人が2015年に日本で消費した額は、3兆4,771億円となり、初めて3兆円の大台を突破し、過去最高を記録しました。この消費額において貢献度が高いのはやはり中国からの観光客による買い物であり、“爆買い”と呼ばれて日本の小売業者の業績に大きな影響を与えるまでになっています。

 

“爆買い”の取り込みに先行したラオックス

 この“爆買い”需要を真っ先に取り込んで、業績を急拡大させているのが家電量販店のラオックス

 ラオックスは、かつては2,000億円以上の売上を誇る大手の家電量販店でしたが、ライバル企業との激しい競争に敗れて業績が悪化。2009年には中国最大手の家電量販店チェーンの資本を受け入れて再出発を図ります。そして新生ラオックスが再起をかけて注力したのが、中国人観光客に特化した店舗展開だったのです。ラオックスは中国本土から買い物ツアーを企画し観光コースに組み入れるなど、積極的に中国人ツアー客を受け入れることによって他社との差別化を図ります。この買い物ツアーの狙いは大当たりし、観光バスが秋葉原の店舗の前に横付けされると、続々と中国人旅行客は店内に吸い込まれ、我先にと目当ての商品の購入に夢中になったのです。

 ラオックスは、この中国人の“爆買い”を追い風に、2015年1月~9月までの9か月間の純利益は71億円と前年同期間比14倍という驚異的な伸びを記録することになります。

 

“爆買い”を取り込むために後発組のビックカメラが仕掛ける数々の戦術とは?… 続きを読む

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安部 徹也

安部 徹也

株式会社 MBA Solution 代表取締役

株式会社 MBA Solution 代表取締役。2001年MBAを取得後、経営コンサルティングの事業で起業。近著に『最強の「イノベーション理論」集中講義』 (日本実業出版社)や『ぐるっとマーケティング』(すばる舎リンケージ)などがある。

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