経営者が知っておきたいビジネス理論入門(第48回)

メガヒットの『火花』から学ぶマーケティングの極意

2015.10.21 Wed連載バックナンバー

記録的な売上が続く『火花』

 出版業界で今年最大のヒットを飛ばしているのが、お笑い芸人・又吉直樹氏が執筆した『火花』。

 2015年3月11日に文藝春秋から発売になった単行本は、8月までに増刷を重ね239万部を突破。出版不況で本が売れない時代に、書店では書籍が山積みとなって飛ぶように売れ、9月16日には実際に売れた部数も200万部を超えて、202万部にまで達していることが報道されました。

 芥川賞受賞作品に限定すれば、歴代最も売れた作品は村上龍氏が1976年に受賞した『限りなく透明に近いブルー』で354万部になりますが、内訳を見ると単行本が131万部に対して、価格が手頃な文庫本が223万部も占めています。

 単行本だけを比較すれば『火花』は239万部と131万部の『限りなく透明に近いブルー』に対して、すでに100万部をゆうに超える売上を記録しているので、今後はより低価格の文庫本をリリースすれば、354万部という歴代記録を塗り替える期待も高まります。

 このように、今年の出版業界では『火花』の話題一色といっても過言ではありませんが、このブームはどのように仕掛けられたのでしょうか?

 今回は、本が売れない時代に文藝春秋が仕掛けたマーケティング戦略を解き明かすことによって、逆境の中でも売れるマーケティングの極意を浮き彫りにしていきたいと思います。

 

『火花』は“ギャップ効果”と“初物効果”でヒットの導火線に火が付いた

 この『火花』ブームを生み出したのは、文藝春秋の敏腕編集者の先見の明によるところが大きいといえるでしょう。

 担当編集者である浅井茉莉子氏は、又吉氏が『文藝春秋』の愛読者だということを小耳に挟むと、… 続きを読む

全文(続き)を読む

続きを読むにはログインが必要です。

まだ会員でない方は、会員登録(無料)いただくと、続きが読めます。

連載記事

マクドナルドがクォーターパウンダーを切捨てた理由
安部 徹也

安部 徹也

株式会社 MBA Solution 代表取締役

株式会社 MBA Solution 代表取締役。2001年MBAを取得後、経営コンサルティングの事業で起業。近著に『最強の「イノベーション理論」集中講義』 (日本実業出版社)や『ぐるっとマーケティング』(すばる舎リンケージ)などがある。

このページの先頭へ
Bizコンパス公式Facebook Bizコンパス公式Twitter