経営者が知っておきたいビジネス理論入門(第42回)

『モルツ』から『ザ・モルツ』へ!サントリーの挑戦

2015.07.13 Mon連載バックナンバー

サントリーがスタンダードビールの主力製品『モルツ』を刷新!

 サントリービールは、9月8日からスタンダードビールの主力商品である『モルツ』の販売を終了し、新たに新製品『ザ・モルツ』を投入することを発表しました。

 『モルツ』は1986年に発売され、スタンダードビールの主力製品としてその麦芽100%にこだわった高い品質で一定のファン層を獲得したものの、2014年時点ではスタンダードビールの中で出荷量ベースで3.35%に留まるなど、アサヒビールの『アサヒスーパードライ』やキリンビールの『一番搾り』など高いブランド力を誇る上位メーカーの攻勢に押され、苦戦を強いられていたのが現状です。

 サントリービールとしては、『ザ・プレミアム・モルツ』がプレミアムビールの中で53%、『金麦』が新ジャンルの中で28%のシェアを獲得して好調だけに、ビール類市場全体の42%を占めるスタンダードビール市場においても、シェアを高める戦略商品の必要性が高まっており、その役割を担うべく新製品『ザ・モルツ』を投入して、市場を切り開いていく狙いがあるのです。

 

サントリーグループにとってスタンダードビールのシェアアップは至上命題

 サントリーグループは、ここ最近積極なM&Aで業績を急速に伸ばしてきました。2014年5月には当時の為替レートで1兆6,500億円にも達する巨費を投じアメリカで蒸留酒最大手のビーム社を買収し、蒸留酒で世界3位に躍り出ます。また、サントリーホールディングスの2014年12月期の売上高は、前年同期比20.3%増の2兆4,552億円を記録し、2.6%減の2兆1,957億円に終わったキリンホールディングスを抜き去り、国内首位にまで上りつめました。

 そして、2020年にはグループの売上目標を4兆円に設定し、食品メーカーとして世界のトップ10の仲間入りを果たすことを目指しているのです。

 このような拡大路線をひた走るサントリーグループにおいて、ビールの主要マーケットであるスタンダードビールで『モルツ』を全面刷新し、新製品の投入でマーケットシェアの拡大を図るマーケティング戦略は理に適っているといえるでしょう。

 ただ1点、気になるのは、… 続きを読む

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安部 徹也

株式会社 MBA Solution 代表取締役

株式会社 MBA Solution 代表取締役。2001年MBAを取得後、経営コンサルティングの事業で起業。近著に『最強の「イノベーション理論」集中講義』 (日本実業出版社)や『ぐるっとマーケティング』(すばる舎リンケージ)などがある。

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