経営者が知っておきたいビジネス理論入門(第40回)

家電から価電へ!業界の異端児の挑戦は成功するか?

2015.06.10 Wed連載バックナンバー

イノベーティブな製品で家電業界に風穴を開けることを目指すハイアールアジア

 一時期の総崩れ的な状況は脱したものの、シャープが存亡の危機に立たされるなど、日本の家電メーカーはまだまだ厳しい環境の中でもがいています。

 かつてソニーの『ウォークマン』や『ハンディカム』、シャープの液晶テレビ『アクオス』など優れた製品で世界の市場をリードしてきた日本企業ですが、今やものづくりだけではグローバルマーケットで勝ち抜くことは難しくなったのです。

 そんな大きな変革の波が押し寄せている家電業界の中で、日本市場において存在感を増そうと従来の業界の慣習を打ち破る取り組みで注目を集めている企業があります。

 それがハイアールアジア

 ハイアールはもともと中国の企業ですが、パナソニックから旧三洋電機の洗濯機や冷蔵庫の事業部門の譲渡を受け、日本進出を果たします。そして、2014年2月には、デルやソニー・ピクチャーズエンタテイメントなどのグローバル企業で輝かしい実績を上げてきた伊藤嘉明氏を社長に迎えて日本市場を切り開いていくことを託します。

 伊藤社長はもともと家電業界においては門外漢のため、業界の常識にとらわれずに“新参者”という従来とはまったく違う角度の視点から革新的な製品の投入を目指します。たとえば、伊藤社長は全国の研究開発拠点を視察して、開発者から『世界最小の洗濯機』という興味深い製品アイデアを聞き付けると、すぐさま製品化を決定。この『世界最小の洗濯機』は、伊藤社長の行動力に心を動かされた高い技術水準を持つ旧三洋電機の技術者達の積極的な取り組みにより、計画を半年以上前倒ししてわずか7か月で製品化に漕ぎ着けます。そして、2015年3月に市場に投入されたのが持ち運べるスティック型洗濯機『コトン』だったのです。

 コトンは世界で初めて携帯を可能にした超小型のハンディ洗濯機であり、スティックのような形状をしたマシンで衣類の汚れた部分をたたくと水が噴射され汚れを繊維から押し出してきれいにする仕組みになっています。通常の洗濯機で行う「洗い」と「すすぎ」の工程を、1回あたりおよそスプーン 1杯分の水、わずか5ccで行えるという画期的な商品として話題をさらうことになるのです。

 

 “業界の異端児”は、業界の常識を変えることができるのか?

 さらにハイアールアジアは 6月2日に開催したイベントでも、続々と常識を覆すような白物家電を白日の下に晒します。… 続きを読む

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安部 徹也

安部 徹也

株式会社 MBA Solution 代表取締役

株式会社 MBA Solution 代表取締役。2001年MBAを取得後、経営コンサルティングの事業で起業。近著に『最強の「イノベーション理論」集中講義』 (日本実業出版社)や『ぐるっとマーケティング』(すばる舎リンケージ)などがある。

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