経営者が知っておきたいビジネス理論入門(第37回)

『食べるラー油』のロングセラー戦略は成功するか?

2015.04.29 Wed連載バックナンバー

爆発的なブームを巻き起こした食べるラー油と、その後

 2009年から2010年にかけて爆発的なブームを巻き起こした食べるラー油がさらなる進化を遂げています。

 食べるラー油のヒットの先駆けとなったのは、2009年8月に桃屋が投入した『辛そうで辛くない少し辛いラー油』。

 これまでになかった“調味料を食べる”というコンセプトが斬新で、インターネットで口コミが広がると売り切れとなる店舗が続出しました。さらに、この過熱振りがテレビ番組などで紹介されると消費は益々ヒートアップ。遂には売れ過ぎてスーパーやネットでさえ手に入らないという極端な品薄状態に追い込まれる事態となったのです。

 この食べるラー油ブームを逃すまいと満を持して市場に参入してきたのが業界最大手のエスビー食品。桃屋の『辛そうで辛くない少し辛いラー油』が売れ過ぎて商品を安定的に供給できないのを大きなビジネスチャンスと見るや、2010年3月に『ぶっかけ!おかずラー油チョイ辛』を投入してきたのです。このエスビー食品の新製品も予想を上回る売上を記録し、やはりなかなか手に入らない状況が続くことになるのです。

 食べるラー油はその後も外食産業など調味料メーカー以外の異業種からも参入する業者が相次ぎ、市場は急拡大していきます。ただ、さすがに最近ではブームも沈静化し、欲しくても手には入らないというかつての異常な事態は見られなくなっています。

 

食べるラー油の商品ラインナップを進化させたエスビー食品

 急激なブームが過ぎ去り、消費量が落ち込んでいる昨今、エスビー食品は3月に新たな食べるラー油を市場に投入します。

 それが、油の量を減らしたふりかけタイプの『俺たちのパラパラおかずラー油』と、口臭の原因ともなるにんにくが入っていない『乙女たちのおかずラー油』。

 商品名から想像できる通り、従来製品ではカロリーが高く敬遠してきた中高年の顧客層やニンニクのにおいが気になるために購入を控えてきた女性の顧客層などに向けた商品であり、従来製品よりもターゲットを極端に絞り込んできたのです。

 通常、商品が売れなくなった際には、より対象顧客を広げるターゲティングを取りたくなるかもしれません。ただ、実際のところターゲットを広げれば広げるほど、逆に売上がダウンする可能性も高くなってくるので注意が必要です。なぜなら、… 続きを読む

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安部 徹也

安部 徹也

株式会社 MBA Solution 代表取締役

株式会社 MBA Solution 代表取締役。2001年MBAを取得後、経営コンサルティングの事業で起業。近著に『最強の「イノベーション理論」集中講義』 (日本実業出版社)や『ぐるっとマーケティング』(すばる舎リンケージ)などがある。

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