経営者が知っておきたいビジネス理論入門(第36回)

レモンジーナはなぜ販売休止に追い込まれたのか?

2015.04.17 Fri連載バックナンバー

 最近、販売休止に追い込まれる商品が相次いでいます。

 2月24日には、ハーゲンダッツから新作ミニカップ華もち『きなこ黒みつ』と『みたらし胡桃』が期間限定で販売されましたが、予想外の売上を記録し、発売からわずか2日で安定供給ができないと販売休止に追い込まれました。これらの商品は、販売休止後、未だ販売再開の目処は立っていない状況です。

 また、3月31日に発売されたサントリーの『レモンジーナ』は、発売当初から話題が沸騰し、あっという間に年間目標としていた100万本の売上を達成。あまりにも爆発的に売れ過ぎて供給が追いつかず、やはり販売休止に追い込まれたのです。

 

なぜ、新製品が販売休止となるのか?

 『レモンジーナ』の爆発的なヒットを受けて、ネットでは『品薄マーケティング』などと揶揄する声もありますが、企業としては、決して意図的に販売休止を発表して、消費者の飢餓感を煽り、爆発的に売上を上げようとしているわけではないでしょう。

 よく、閉店するわけでもないのに『閉店セール』と銘打って集客を図るプロモーションの類とは明らかに違います。なぜなら、実際に販売を休止すれば、その間は売上がまったく立たなくなるからです。店頭に長い期間並ばなければ、折角の売上機会を失うでしょうし、消費者からはすぐに忘れ去られて、大量生産の体制を整えて販売を再開したとしても、多くの在庫の山を築くリスクも高くなるのです。

 それでは、なぜ企業も望まない販売休止を選択せざるを得ないのでしょうか?

 これは事前の予測と大きく乖離した需要が起こるからに他なりません。

 企業は新製品を投入する際には事前にどのくらいの需要が見込めるかを予測し、生産計画を立てていきます。需要予測に基づいて原材料を調達し、工場のラインを調整して計画した数量を生産していくのです。これは『レモンジーナ』も同じです。『レモンジーナ』は当初2015年12月末までに100万ケースを販売する計画を立てて、販売がスタートします。つまり、サントリーでは、月におよそ10万ケースを売り上げる予定だったのです。ところが蓋を開けてみるとわずか2日で年間目標を大きく上回る125万ケースが売れるという予想外の事態が起こります。

 このように事前に綿密に立てた需要予測を大きく外してしまった結果、安定供給のための物資やラインが足りずに販売休止という苦渋の決断を下さざるを得ない状況に追い込まれることになるのです。

 

なぜ、プロのマーケッターが大きく需要を見誤るのか?

 このような販売休止のニュースに触れるにつけ、一つ疑問が浮かび上がってきます。

 「なぜ、マーケティングのプロが需要に関して10倍以上もの誤差が生じてしまうのか?」、と。… 続きを読む

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安部 徹也

安部 徹也

株式会社 MBA Solution 代表取締役

株式会社 MBA Solution 代表取締役。2001年MBAを取得後、経営コンサルティングの事業で起業。近著に『最強の「イノベーション理論」集中講義』 (日本実業出版社)や『ぐるっとマーケティング』(すばる舎リンケージ)などがある。

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