経営者が知っておきたいビジネス理論入門(第23回)

業界初の試みでスマホゲームの打倒を目論むカプコン

2014.12.04 Thu連載バックナンバー

 スマートフォンのゲームにライトユーザーが流れ、家庭用ゲームソフトの販売が不振を極める中、ゲームソフト大手のカプコンが業界初の価格戦略にチャレンジすることを発表しました。果たして、カプコンの挑戦は実を結ぶのでしょうか?新たな取り組みを掘り下げていくことにしましょう。

 

ゲーム業界で異例の価格戦略を導入するカプコン

 ゲームソフト大手のカプコンがゲーム業界としては異例の取り組みを始めます。

 来年初めに発売するゲームソフト「バイオハザード」の新作でエピソード毎に分割して販売することを発表したのです。「バイオハザード」とは1996年にシリーズ1作目が発売されるや世界で大ヒットを記録したホラーアクションアドベンチャーゲームで、その後も根強いファンの支持を受け、多くの作品が生み出されてきた人気シリーズ。この新作を発売するにあたり、これまでゲーム1本6千円ほどで販売されていた価格戦略を改め、4エピソードに分割して、1エピソードあたり1~2千円程度の価格設定で販売することを決めたのです。

 このカプコンの新たな価格戦略導入の背景には、スマートフォンの普及でゲームのライトユーザーが離れ、家庭用ゲームソフトが苦戦していることが挙げられます。スマートフォンのゲーム市場が急成長して2013年には5,000億円を突破した一方で、家庭用ゲーム市場は年々減少傾向を辿り、2013年は2,500億円程度に落ち込むなど、実に倍以上の開きができてしまったのです。

 カプコンとしては、まずは1千円程度の手頃な価格で気軽に最初のエピソードを楽しんでもらい、続編の購入につなげて、最終的には従来の1本分の代金の回収ができるような仕掛けを考えているのです。

 1本6千円では高過ぎて買えないというユーザーでも、1千円であればお試しという意味で購入することも考えられます。このゲームの切り売りは、これまで「バイオハザード」をやってみたいけど、価格で躊躇していた新たなユーザーの取り込みや価格面で離れてしまったユーザーを再び呼び戻すことを狙ったものなのです。

 

スライスシェアで大きな成功を収めたアップル

 このように従来は高額な商品を分割して低価格を実現する戦略は価格イノベーションの一つの方法で、『スライスシェア』と呼ばれています。… 続きを読む

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安部 徹也

安部 徹也

株式会社 MBA Solution 代表取締役

株式会社 MBA Solution 代表取締役。2001年MBAを取得後、経営コンサルティングの事業で起業。近著に『最強の「イノベーション理論」集中講義』 (日本実業出版社)や『ぐるっとマーケティング』(すばる舎リンケージ)などがある。

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