経営者が知っておきたいビジネス理論入門(第21回)

ソフトバンクが人型ロボット『Pepper』に託す野望

2014.11.06 Thu連載バックナンバー

 ソフトバンクは、新事業としてロボット事業に参入することを表明しました。果たして、ソフトバンクの狙いはどこにあるのでしょうか?そのマーケティング戦略を分析しながら、浮き彫りにしていきましょう。

 

遂に“夢のロボット”が我が家に来る時代が到来か!?

 私達の生活の中では、昔から『鉄腕アトム』や『ドラえもん』などロボットとの日常が描かれてきました。マンガの世界では、ロボットは人と共存し、コミュニケーションを図って、時には人を助けるパートナー的な存在になっていたのです。

 このマンガの世界を現実のものにしようとチャレンジしている企業があります。

 それが、ソフトバンク。

 ソフトバンクは2014年6月5日に、人型ロボット『Pepper』をお披露目。一般発売は2015年2月からですが、発表会の翌6月6日からはソフトバンクモバイルの店舗に設置され、来店客の対応を任されるなど、すでに活躍の場が与えられています。

 この『Pepper』がこれまでのロボットと一線を画すのは、人の感情を認識して対応を変えることができる点です。『Pepper』には周囲の状況に合わせて自律的に判断して行動する独自の機能が搭載されていて、人と自然にコミュニケーションが図れるよう設計されているのです。さらに受け答えは、機械特有の無機的で単調なものではなく、吉本興業グループのよしもとロボット研究所の協力を得て、お笑いやダンスなど多彩なエンターテインメントで応答するなど、利用者を楽しませる機能も充実。加えて、購入後もスマートフォンのように、世界中の開発者が作った数多くの『ロボアプリ』がダウンロードできるプラットフォームも提供される予定で、お気に入りのアプリをインストールすれば、自分だけのオリジナル『Pepper』を作ることができるのです。

 ソフトバンクと共に、この夢のような人型ロボットの普及に挑戦するのが、フランスでロボット開発を手掛けるアルデバラン・ロボティクス社。すでに世界70ヵ国以上で人型ロボットを販売している実績を誇り、その技術は折り紙付きです。2011年にソフトバンクの孫正義社長が、アルデバラン・ロボティクス社のブル-ノ・メゾニエCEOとトップ会談を行った際に両者が意気投合して、即断即決で投資が決定。今ではソフトバンクが78.5%出資する子会社となって共に歩み続けています。

 このように、アルデバラン・ロボティクス社の技術に、ソフトバンクの資金が加わり、世界初の感情認識ロボットが我が家に来る日が現実のものとなろうとしているのです。

 

ソフトバンクの狙いはどこにあるのか?

 最先端の技術の粋を結集した人型ロボット『Pepper』には驚かされますが、さらに驚くべきはその価格。ソフトバンクの孫社長は発表会の席上で、夢のようなロボットを、わずか19万8千円で販売することを高らかに宣言したのです。

 この価格設定には、ソフトバンクのどのような狙いが秘められているのでしょうか?… 続きを読む

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安部 徹也

安部 徹也

株式会社 MBA Solution 代表取締役

株式会社 MBA Solution 代表取締役。2001年MBAを取得後、経営コンサルティングの事業で起業。近著に『最強の「イノベーション理論」集中講義』 (日本実業出版社)や『ぐるっとマーケティング』(すばる舎リンケージ)などがある。

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