経営者が知っておきたいビジネス理論入門(第18回)

異例のブランド戦略「キリン 別格」の真の狙いとは?

2014.09.25 Thu連載バックナンバー

 『キリンビバレッジが新たに立ち上げる「キリン 別格」ブランドの真の狙いはどこにあるのか?』……今回は、飲料業界では異例のブランド戦略から、生き残りが厳しい環境でのプロダクト戦略について考えていくことにしましょう。

 

最高級飲料カテゴリーで「キリン 別格」ブランドを立ち上げたキリンビバレッジ

 キリンビバレッジは、新たに立てたスローガン「世界一おいしいのみものをつくる会社になる」を実現すべく、11月4日から「キリン 別格」ブランドを立ち上げることを発表しました

 この「キリン 別格」ブランドで、希少性が高く、品質の優れた素材を惜しみなく使用し、手間暇をかけた製法で贅沢の極みを追求した飲料を展開していく予定です。

 「キリン 別格」シリーズは、高品質を追求した商品だけに価格も高く、希望小売価格は税抜きで200円と、一般的な飲料と比べると1.5倍程度の価格設定になっていますが、事前に同社がマーケティングリサーチを行ったところ、「味がおいしければ多少価格が高くても気にならない」と回答した人の割合が5割以上に達し、価格よりも価値を重視する消費者が増えている流れを踏まえて市場投入に踏み切ったのです。

 まず、11月4日に「日本冠茶」(緑茶)「希少珈琲」(コーヒー)「生姜炭酸」(炭酸飲料)でスタートし、18日には「黄金鉄観」(青茶)を加えて、当初は4種類での展開を予定しています。

 この「キリン 別格」シリーズが注目を浴びるのはこれまでになかったクオリティを追求する高品質の商品ばかりではありません。飲料業界では珍しく、一つのブランドに複数の種類の商品を展開していく戦略にあります。

 これまで飲料業界では一つのブランドには同じ種類の商品を展開していくことが一般的でした。たとえば、コカ・コーラというブランドであれば、「コカ・コーラ」や「コカ・コーラ ゼロ」といった同じ種類の商品で展開していくのです。

 一方で「キリン 別格」は、緑茶やコーヒー、炭酸飲料、青茶など種類の違う複数の商品を同じブランドの傘の下で展開していく戦略であり、飲料業界では異例な試みといえます。

 それでは、なぜキリンビバレッジは敢えて業界の慣例を破って、一つのブランドで複数の商品を展開する戦略に打って出たのでしょうか?

 今回は「キリン 別格」戦略を深読みすることによって、生き残りが厳しい時代の効果的なプロダクト戦略を浮き彫りにしていきたいと思います。

 

「キリン 別格」ブランドの狙いはどこにあるのか?

 キリンビバレッジが、「キリン 別格」ブランドで種類の違う複数の商品を展開する狙いは、一つ目として“高級品の統一感を図る”ということが挙げられるでしょう。… 続きを読む

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安部 徹也

株式会社 MBA Solution 代表取締役

株式会社 MBA Solution 代表取締役。2001年MBAを取得後、経営コンサルティングの事業で起業。近著に『最強の「イノベーション理論」集中講義』 (日本実業出版社)や『ぐるっとマーケティング』(すばる舎リンケージ)などがある。

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