経営者が知っておきたいビジネス理論入門(第15回)

破壊的イノベーションが変える携帯電話業界の未来

2014.08.14 Thu連載バックナンバー

 格安スマホの登場により、携帯電話業界では2つの破壊的イノベーションが進行しています。果たして、このイノベーションはマーケットをどう変えていくのか?ビジネス理論を駆使して予測していくことにしましょう。

 

大きく変貌を遂げる携帯電話の業界地図

 スマートフォン市場に大きな変革の波が押し寄せています。

 発端は今年の4月4日。流通大手のイオンがスマートフォン本体の割賦代金と通信料込みで月額2,980円(税抜)の「イオンスマホ」を発売すると、これまでスマートフォンをあまり利用していなかったシニア層を中心に、手頃な価格が支持されて、予定していた8,000台がわずか1カ月で完売する異例の事態が起こったのです。

 これを大きなビジネスチャンスととらえた他の企業、特にビックカメラやヤマダ電機など大手家電量販店が次々とマーケットに参入し、イオンが切り開いた“格安スマホ”という新たなカテゴリーでホットな争いが繰り広げられるようになります。

 このような競争の激化を受けてイオンは、7月4日からさらに1,000円安い1,980円(税抜)で第2弾の格安スマホを投入するなど、競争は益々ヒートアップしていく様相を呈しています。

 今年に入ってからの格安スマホの急成長で、大きな影響を受けそうなのがNTTドコモなどの大手通信キャリア。たとえば、通信料金だけを見ればNTTドコモの2010年3月の月額平均通信料は5,540円だったものが、2014年3月には4,500円まで下落し、さらに2015年3月には4,390円まで落ち込むことが予想されています。

 まさに格安スマホは大手3社の寡占が続く携帯電話業界に風穴を開け、市場を大きく変える「破壊的イノベーション」を起こしているといっても過言ではないでしょう。

 

破壊的イノベーションとは何か?

 破壊的イノベーションとは、ハーバード・ビジネス・スクールのクレイトン・クリステンセン教授がその著書『イノベーションのジレンマ』で明らかにした考え方で、機能を削ぎ落とした低価格の製品で、それまで主導権を握っていたマーケットリーダーのビジネスを破壊し、新興勢力がマーケットで存在を高めていくイノベーションです。

 破壊的イノベーションが起こるメカニズムは、次の図表で表すことができます。… 続きを読む

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安部 徹也

安部 徹也

株式会社 MBA Solution 代表取締役

株式会社 MBA Solution 代表取締役。2001年MBAを取得後、経営コンサルティングの事業で起業。近著に『最強の「イノベーション理論」集中講義』 (日本実業出版社)や『ぐるっとマーケティング』(すばる舎リンケージ)などがある。

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