名作家からビジネスシーンを読み解く(第1回)

夏目漱石に学ぶ、イノベーションの鍵は”道楽”にあり

2017.07.15 Sat連載バックナンバー

 人工知能を搭載した対話型スピーカー、自動運転の電気自動車など、21世紀の技術はめざましく進歩しています。

 ところが、その多くは海外から生まれたものです。たとえば、人工知能(AI)を搭載した対話型スピーカーはAmazonが市場をリードし、GoogleAppleが追従しています。自動運転は、そもそもテスラモーターズやGoogleが主導権を握っていました。日本のメーカーも積極的に取り組んでいますが、海外が先行しているのが現状です。

 日本発のイノベーションを起こすにはどうすべきか、それは難しい問いです。しかし、ヒントを与えてくれそうな作家が明治時代にいました。それが文豪と呼ばれる夏目漱石です。

 昨年5月に発売された『夏目漱石、現代を語る 漱石社会評論集』(夏目漱石著、小森陽一編著、角川書店)は、彼が生前に行った5つの講演を取り上げて解説を加えています。彼が批判したのは、明治時代におこった「文明開化」と呼ばれる変化です。21世紀のイノベーションに通じる考え方や、時代のニーズのつかみ方が漱石の批判の内容から読み取れます。

 そこで、明治時代の文明開化と現在の技術革新を重ね合わせながら、漱石の批評からイノベーションのヒントを探ります。

 

AIの進化は、21世紀の文明開化である?

 2017年に生誕150年を迎えた夏目漱石は、『こころ』『吾輩は猫である』などの小説を著しました。1984年から2007年には千円札の肖像画に使われていたことでも知られています。一方でイギリスへの留学などを通して文学の研究を行い、文明批評も書き残しています。

 漱石の生きた明治時代は「文明開化」「富国強兵」「殖産興業」が国策として打ち出され、服装に洋装が取り入れられたり、牛鍋の流行など食生活の変化、鉄道の敷設などが見られました。西洋化が急速に日本に広まっていった時代です。

 漱石が文化の変化や新しい技術を見る目は冷ややかです。「現代日本の開花」の講演においては、… 続きを読む

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外岡 浩

外岡 浩

株式会社ソーセキ・トゥエンティワン 代表取締役

テクニカルライター、教育関連出版社、マーケティング会社、IT関連出版社などを経て、現在、オウンドメディアのコンテンツライティングを中心に事業を展開。IT、マーケティング、ビジネス分野の原稿を執筆。

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