従業員のメンタルの不調をどう防ぐか(第1回)

5月病とは何が違う?心のスランプ「6月病」とは

2017.06.13 Tue連載バックナンバー

 5月のゴールデンウィークが終わったころに「5月病」にかかり、出社できなくなった従業員がいる企業も多いかもしれない。しかし、最近ではGW明けではなく、もう少し時間が経った6月に発症するケースが多く見られ、「6月病」(新5月病)と呼ばれることも多くなっている。

 いったい「6月病」とは、どのような病気なのだろうか。「5月病」とは何が違うのだろうか。

 

『6月病』は新入社員の適応障害

 「『6月病』は、一般に新入社員に対して使われます。専門的に言えば『適応障害』。会社という新しい環境にうまく馴染めずメンタルの不調を起こすことです」と話すのは、企業の従業員のメンタルヘルスを総合的にサポートすることを業務にしている株式会社ジャパンEAPシステムズの取締役・顧問医の米沢宏氏だ。6月にメンタルの不調を訴える新入社員が多いため、この名がついたという。

 それに対して「5月病」は、大学の新入生が「目標喪失」よって無気力になる無気力症候群。遊びはもちろん、食事時間を削り、寝る間も惜しんできた受験勉強一筋の人がなりやすい。大学合格が人生のあまりに大きな目標だったため、それに匹敵する次の目標が見つからないからだ。大学生活に慣れ、緊張感がほぐれてきたゴールデンウィーク明けくらいから症状が出てくるので「5月病」と呼ばれる。

 かつては、新入社員のメンタルの不調も「5月病」と呼ばれていたが、頑張りすぎて目標を喪失した学生の「5月病」と、厳しい社会の環境に馴染めない新入社員のメンタルの不調は発生のメカニズムが違う。

 「『新型うつ病』とか、新しい現象が起こるとすぐに〇〇病と付けたがる風潮はどうかと思うのですが、『6月病』と呼ぶことで企業側も本人も異変に早く気づくようになるなら意義があると思います」(米沢氏)

 

6月病は新しい環境に適応するためのプロセス

 「6月病」を理解するために、まず押さえておきたいのは「適応曲線」。人間が新しい環境に適応していくためのプロセスだ。

 「入社して1か月くらいは、希望の会社に入れた嬉しさや、新しい仲間ができた喜び、仕事への熱い意気込みなどに支えられて、とにかく頑張るものです。これを『ハネムーン期』といいます」(米沢氏)

 しかし、研修等を終え、実際に仕事を始めれば、物事は思った通りに進まない。単純なことですら失敗する。電話での相手の名の聞きそびれ、伝言忘れ、伝言ミスなどは、その典型だろう。失敗すれば、当然、先輩や上司から注意されるし、時には客から激しく叱責されるかもしれない。

 「このように、うまくいかない経験をいくつも重ねるうちに混乱し自信を失っていきます。これを『カルチャーショック期』といいます」(米沢氏)

 混乱や自信喪失に悩まされるピークはだいたい入社後3カ月目。これがちょうど6月に当たるわけだ。大半の人は、それでも徐々に新しい環境や仕事に慣れていき、半年くらいすれば混乱は収まり、自信も取り戻して「適応期」に入る。こうなれば、もう安心だ。

 縦軸を適応レベル、横軸を入社してからの期間にすれば、「カルチャーショック期」を底にしたU字型が描ける。これが「適応曲線」というわけだ。

 

6月はメンタル系病院の来院数のピーク

 大半の人は、放っておいても、自然に「カルチャーショック期」から「適応期」に移行していくが、一部の人は、… 続きを読む

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竹内三保子

竹内三保子

1983年西武百貨店入社。紳士服飾部、特別顧客チームを経てフリーライターに。その後、編集プロダクション・カデナクリエイトを設立。共著に『図解&事例で学ぶビジネスモデルの教科書』『課長・部長のための労務管理問題解決の基本』などがある。

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