旅する「真田丸」~真田一族の聖地巡礼(第6回)

松代/“振り回された男”真田信之・最後の安息の地

2016.07.29 Fri連載バックナンバー

 大河ドラマ『真田丸』内で、大泉洋演じる信幸(信之)は、憂鬱な出来事が続いていた。正妻として迎えた本多忠勝の愛娘・稲(小松姫)からは冷たくあしらわれ、父・昌幸からは伏見城普請などの面倒事を押しつけられる。せっかく授かった「伊豆守」の官位は、弟・信繁(幸村)が同情から秀吉に頼み込んで与えられたものと知り、さらにふさぎこんでしまう……。7月17日放映の第28回「受難」では、関白という重圧から逃げだした豊臣秀次を、「わたしも振り回されて、今日までやってまいりました(中略)振り回されながら生きているのは、殿下おひとりではありません――」と励ました。

 信之はドラマ内だけではなく、史実でも“振り回される”生涯を送った。東軍についた関ヶ原合戦後は、徳川家康秀忠に嘆願して家名存続を訴えた一方で、紀州(和歌山県)の九度山へ蟄居になった父と弟への経済援助を続けた。父祖伝来の地である上田から松代(まつしろ)への転封を命じられた際も、断腸の思いでそれに従う。移封から36年後には、沼田藩主を継いでいた孫の信利が松代藩主の座を狙う御家騒動が勃発。この時、家督を譲って隠居していた信之は、93歳という高齢で藩主後見として復帰し、後継者争いを治めたのである。

 次々と襲いかかる災禍を払いのけ、信之が守ろうとしたもの――それが「真田」の家名と「松代」という土地であった。松代の城下町には、真田家安住の地を築こうという信之の想いが込められているのだ。

 

ロケ地としての使用も多い真田邸と文武学校

 長野市の南東に位置する松代へは、長野駅からバスで行く(約30分)。以前は長野電鉄屋代線が走っていたが、2012年に廃線となり、現在は路線バスが公共のアクセスとなっている。川中島古戦場など近隣も観光するなら、車が便利だろう。

 旧駅舎を利用したバス停「松代駅」から徒歩5分程度、前回紹介した真田宝物館の裏手に真田邸(新御殿)がある。真田邸は松代藩9代目藩主・幸教が義母のために建てた別邸で、当時この場所は松代城の城内だった。明治以降も真田家当主の私邸として使用されており、表門や母屋、庭園などが江戸時代のまま残されたたいへん貴重な遺構である。

 現在、真田邸では『真田丸』とタイアップして、「真田生活体験館」と題した展示とイベントを開催中。茶道・お琴教室や着付け体験など武士の生活を追体験できるようなプログラムを展開しているほか、ドラマのストーリー紹介や台本などの展示、真田家の歴史を学べるムービーを放映している。信之役の大泉洋、小松姫役の吉田羊が実際に着用した衣装の展示は、ドラマのファンなら必見だろう。

 真田邸に隣接した文武学校は、江戸時代後期に創設された藩校跡。次々と藩政改革を成し遂げ、幕府老中も務めた8代目藩主・幸貫が構想した学校で、日本/西洋の垣根を超え、武芸・文学から軍事学や西洋医学まであらゆる学問を学ぶことができたという。真田邸同様、創建当時のままの建物内で、弓道や古武道など武士の嗜みを体験できるプログラムを実施中だ。

 なお、真田邸や文武学校は映画やドラマのロケ地として使用されることも多い。近年だと、… 続きを読む

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かみゆ歴史編集部

かみゆ歴史編集部

歴史コンテンツメーカー

歴史関連の書籍や雑誌、デジタル媒体の編集制作を行う。ジャンルは日本史・世界史全般、アート、日本文化、宗教・神話、観光ガイドなど。おもな編集制作物に『日本の山城100名城』(洋泉社)、『一度は行きたい日本の美城』(学研)、『戦国合戦パノラマ図鑑』(ポプラ社)、『系図でたどる日本の名家・名門』(宝島社)、『大江戸今昔マップ』(KADOKAWA)、『国分寺を歩く』(イカロス出版)など多数。お城イベントプロジェクト「城フェス」の企画・運営、アプリ「戦国武将占い」の企画・開発なども行う。公式サイトはwww.camiyu.jp

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