今宵行きたい、名物女将のもてなす店(第9回)

【中目黒】ミシュランも認めた女料理人の“集大成”

2016.04.28 Thu連載バックナンバー

腕利きの料理人の技をカウンター越しに楽しむ

 中目黒の商店街にそっとたたずむ割烹。長年和食の修業を積んだ料理人が腕を振るい、目に美しく、舌においしい料理を出す店、それが「松 まつもと」だ。

 この店の店主兼料理人は松本幸子さん。有名ホテルや和食店で30年近く修業を積み、2013年12月に自分の店を開いた。「この店は私の修業してきたことの集大成です」と彼女は語り、コの字型のカウンターの中央で、鮮やかな身のこなしで客をもてなしている。

 「松 まつもと」では、大抵の客がおまかせコース5,184円を注文する。中目黒にある店としては価格設定は低めだが、自家製生豆腐(きどうふ)、野菜の造り、お椀、お造里(つくり)、油物(天ぷら)、おきまり(胡麻豆腐など)、メイン料理の蒸し物、お食事で全8品という内容を聞くと、この価格設定がさらに破格の値段であることがよくわかるだろう。

 コースの内容は、1ヶ月半〜2ヶ月くらいで内容が変わるため、その折々の味を楽しむべく、足繁く通いたくなる。なんせその味は、ミシュランガイド東京2016のビブグルマンに選出されたのだから、折り紙付きだ。

 

ますます食が進む丁寧な説明

 店自慢の「自家製生豆腐」は茨城産の大豆を使って毎日作っている。コースの一品でもあるが、単品注文の際にもお通し代わりに出してもらえる。岩塩と「鰹より風味がまろやかです」と言われた鮪節(まぐろぶし)をかけて食べると、ふんわりまろやかな風味が広がり、口の中でとろけてなくなるような、なめらかさだ。

 色鮮やかな「野菜の造り」は、毎朝築地で仕入れたものが出される。紫アスパラ、水ナス、雪うるい(山菜)などつややかな野菜がたっぷり盛られている。

 旬があるため内容は時季によって変わるが、その味の濃厚さには驚かされる。甘み、香りの良さ、ほろ苦さなどが抜きん出ている。金山寺味噌も共に出されたが、味噌をつけて食べるのがもったいないくらいの風味だ。

 松本さんは料理を差し出すたびに、実に丁寧に説明してくれる。お造里を前にして、「こちらは駿河湾の… 続きを読む

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松岡 芙佐江

松岡 芙佐江

フードライター

フードライター歴12年。グルメ雑誌編集部勤務を経て独立し、フリーランスに。居酒屋からフレンチ、イタリアンまで、店舗紹介記事や食べ歩きルポを執筆。企業誌で、スイーツのレシピ記事なども担当している。

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