今宵行きたい、名物女将のもてなす店(第13回)

【三軒茶屋】香ばしい鰹を独自の酒で味わう隠れ家

2016.08.31 Wed連載バックナンバー

店内に生える樹木に圧倒される

 エコー仲見世商店街すずらん通りなど、三軒茶屋駅前のかしましい雰囲気の通りから少し離れ、代沢方面へ北に徒歩3分ほど。エレベーターの前にそっと置かれたスタンドが「一穂(いっぽ)」の目印だ。

 4階でエレベーターを降り店内へ進むと、そこには見上げるほどの木が現れ圧倒される。外の喧噪を忘れ、店の雰囲気に入り込む瞬間である。

 料理を担当するのは大将の牛越勇二さんと、大野雄一郎さん、接客と酒を担当するのが女将の牛越憲子さんだ。

 料理人歴20年超の勇二さんが立つ調理場はオープンキッチンタイプ。機敏な動きを目の当たりにできる臨場感が料理への期待を高める。

 

とある店での出会いが、その後の独立へつながった

 「一穂」は2015年3月オープン。牛越夫妻と大野さん、ほかスタッフ1名で主に切り盛りしている。

 夫妻の出会いは、恵比寿にある和食店「福笑」でのこと。「福笑」は憲子さんが18歳から勤め始め、通算10年間接客を勤めていた店だ。その調理場に、勇二さんが入ってきたという。大野さんも、「福笑」の一員だった。

 「(憲子さんは)年下ですけど先輩だったので、ビシッと怒られたこともありましたよ」と笑いながら話す勇二さんと憲子さんは、いつしか、共に独立を志すように。

 勇二さんは他店に移り、憲子さんは接客を本格的に学ぶために、三軒茶屋の割烹「阿川」へ。ここでかなり鍛えられたとのこと。

 「今までは大人数の店だったのですが、『阿川』は大将と二人きりの店だったので、今までとかなり勝手が違ったんです。『阿川』では、お客さまとお話しながら大将がどう動いているかも把握していなくてはならなくて」

 お客さまへのもてなし、対話をしながら客観的に自分を見られるように、いろいろたたき込まれましたとにこやかに語りつつ、きびきびと目配りをする様子に、その成果が感じられた。

 

香ばしさが加わった「鰹のわら焼」

 今でこそ腕利きの料理人として調理場に立つ勇二さんだが、元は特に料理人を目指していたわけではなかったという。… 続きを読む

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松岡 芙佐江

松岡 芙佐江

フードライター

フードライター歴12年。グルメ雑誌編集部勤務を経て独立し、フリーランスに。居酒屋からフレンチ、イタリアンまで、店舗紹介記事や食べ歩きルポを執筆。企業誌で、スイーツのレシピ記事なども担当している。

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