今宵行きたい、名物女将のもてなす店(第1回)

【新橋】小料理屋にて、割烹着の女将がお出迎え

2015.11.12 Thu連載バックナンバー

 今回から始まった連載「今宵行きたい、名物女将のもてなす店」では、東京近郊の小料理屋・居酒屋を1軒ずつご紹介します。今夜はどこに飲みに行こうかなと思ったときに役立つ、絶品料理と旨い酒、名物女将のおもてなしで迎えてくれるお店です。

 酒よし、料理よし、女将の器量・気風よし、三拍子揃った店。今宵の止まり木に、ぜひどうぞ。

 

サラリーマンの聖地・新橋に、腰を落ち着けたい小料理屋あり

 JR、東京メトロ銀座線、都営地下鉄浅草線が通る新橋駅。交通の便が良く、高級感あふれる銀座と隣り合わせながら安くて旨い店が数多くあり “サラリーマンの聖地”とも呼ばれる場所だ。街のそこかしこに立ち飲み、居酒屋、小料理屋が建ち並び、早くから杯を傾ける客が詰めかける。

 そんな小体な飲み屋が集うのが新橋駅前ビルだ。もとは戦後の闇市が立っており、昭和41年8月に2棟9階建ての「新橋駅前ビル」が完成した。そのビルの地下一階に、『うまか亭 酒々(うまかてい しゃしゃ)』がのれんを掲げている。

 

割烹着姿の2代目女将が、仕入れから調理、接客までおこなう

 『うまか亭 酒々』の店主兼女将さんは、斎藤 愛(さいとう めぐみ)さん。和服に真っ白な割烹着をつけ、ニコニコほほえみながら迎えてくれる。

 『酒々』が開店したのは、平成元年。愛さんの両親である英二さんと恵子さんが開店した。実は、開店当日まで店名を決めておらず、お洒落の「洒」と「酒」をかけて「酒々(しゃしゃ)」にしようと急遽決めた。命名したのは母親の恵子さんだったという。

 腕の立つ大将と人好き・話し好きの女将さん、夫婦二人で切り盛りしていたが、ある転機が訪れた。

 大将が病に倒れ、それまで軽くお手伝いをしていた愛さんが店を継ぐことに。

 「料理には興味がありましたから幼い頃から両親からいろいろ教わっていましたけど、まさか自分が店を継ぐなんて」と愛さん。

 全く別業種で働いていたが、試行錯誤の上、店を取り仕切ることになった。毎日仕入れに出かけ、14時半ごろにひとりで店に入って魚をさばき、料理の下ごしらえをし、17時にのれんを出す。

 「最初は全然勝手がわからなくて、お客さまにもいろいろからかわれたり、大変でした」と語っていたが、今やホワイトボードには常に30種ほどの料理名がずらりと並ぶ。「塩らっきょ」「銀杏」「クリームチーズの酒盗和え」などつまみ系から、旬の魚介類の刺身や熊本直送の「馬刺」、「銀ダラ西京漬」「若鶏味噌焼」など焼き物系のメニューまで揃う。

 価格は明記されていないため聞いてみたところ… 続きを読む

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松岡 芙佐江

松岡 芙佐江

フードライター

フードライター歴12年。グルメ雑誌編集部勤務を経て独立し、フリーランスに。居酒屋からフレンチ、イタリアンまで、店舗紹介記事や食べ歩きルポを執筆。企業誌で、スイーツのレシピ記事なども担当している。

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