“超高級車”の魅力に迫る(第2回)

なぜ欧州ビジネスエリートはスポーツカーに乗るのか

2015.10.29 Thu連載バックナンバー

 ガソリンエンジンの量産型自動車が市販されて4年後の1895年、早くも世界初の自動車レースが行なわれた。そのときから自動車には“スピードを競う”という宿命が課せられた。当時、“超”が付く高級品だった自動車は、すでにスポーツカーだったのだ。

 自動車レースの現場で、メーカーはその技術力を競うようにして高めていく。その結果として生まれた“超高級”スポーツカーは、欧州のビジネスエリートに愛され、現地のビジネスに根付いていった。

 今回は、ヨーロッパのビジネスエリートたちが“超高級”スポーツカーを選択する理由に迫る。

 

ガソリン車の優位性を自動車レースが証明する

 前回は自動車発明の国とされるドイツとフランスを軸に、ヨーロッパの“超”高級車について記した。階級社会にあった貴族たちは、発明されたばかりのガソリンエンジン自動車を愛でて、使用人としてショーファー(おかかえの運転手)にクルマを走らせ、メカニックを雇ってその性能を維持した。これが、いわゆる「ショファードリブン(専従運転手付きでのクルマ所有)」のなかでも、“超”が付くクルマの贅沢な使い方だ。

 これも以前触れたが、ガソリンエンジンの製造ライセンスを取得したフランスのパナール・エ・ルヴァソール社は、1891年に前輪の車軸前方にエンジンを縦置きで搭載したクルマ「パナール・ルヴァソール」を発売した。動力をクラッチ、トランスミッション、プロペラシャフト、デフ(差動装置)へと伝えて後輪を駆動するこのクルマの機構は「システム・パナール」と呼ばれており、現在の自動車技術の基礎を築き、これをもってガソリンエンジン車が誕生したとされている。

 そして、ガソリンエンジン車の誕生から4年後の1895年に、早くも自動車レースが開催されている。フランスのパリとボルドーを往復するコースで、22台の自動車がそのスピードを競った。参加車のうち15台がガソリンエンジン車で、蒸気機関自動車が6台、電気自動車が1台だった。結局、完走したクルマ9台のうち8台が… 続きを読む

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吉田 恒道

吉田 恒道

フリージャーナリスト&エディター

大学卒業後、世界のモード界を取材するファッション誌編集部でキャリアをスタート。自動車専門誌副編集長、男性ライフスタイル誌の編集長を複数務めた後、独立。フリーランスのジャーナリスト&エディターとして活動。近著に『シングルモルトの愉しみ方』(学習研究社)があり、2015年3月に電子書籍としても発売される。

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