“超高級車”の魅力に迫る(第1回)

100年前、欧州で誕生した「超高級車」のDNAを辿る

2015.10.14 Wed連載バックナンバー

 100年前、欧州で誕生した自動車はすべて「超高級車」だった。貴族たちが乗っていた馬車に、エンジンが搭載されることによって生まれたクルマは、現在の価格に換算すると、数億円から十数億円だったという。

 ここでは、超高級車の歴史と、そのDNAを受け継いだ現代の高級車を取り上げる。

 

階級社会で育まれた「超高級車」

 ヨーロッパで貴族の趣味道具としてスタートした1900年代初頭の自動車は、すべてが「超高級車」だった。それまでの貴族専用だったキャビン(客室)のある馬車にエンジンが備わったかのようなクルマは、完全なオーターメード。メーカーはベアシャシー(ボディがない状態)をつくり、キャビンは完全注文製だ。価格の比較は難しいが、現在の価格に換算すると数億円から十数億円だったとされる。

 当時の高級車はショーファー(おかかえの運転手)が運転し、オーナーである主人は後席に乗る。後席から前方の眺望を優先し、ハンドル位置は「右」だった。主人は「左」の後席に腰掛ける。

 1906年、英国ロールス・ロイス社は、50馬力の6気筒エンジンを搭載した「シルバーゴースト」を発表。静粛性とスムーズさで世界的な名声を確立した。ほかにもフランスのブガッティやイスパノ・スイザ、マイバッハ、グローサー・メルセデスなどの極めて高価な高級車が登場し、貴族や富豪が競って手に入れた。

 こうした意味で「超高級車」は、貴族による階級社会だったヨーロッパでできあがった概念といえそうだ。アメリカ合衆国は、ヘンリー・フォードが基礎をつくったオートメーションによる自動車大量生産方式で自動車大国になった。しかし、階級社会の存在しないアメリカのビッグスリーには、アメリカンドリームで財を成した人のための「高額車」はあったが、それを上回る「超高級車」はないように思える。

 

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吉田 恒道

吉田 恒道

フリージャーナリスト&エディター

大学卒業後、世界のモード界を取材するファッション誌編集部でキャリアをスタート。自動車専門誌副編集長、男性ライフスタイル誌の編集長を複数務めた後、独立。フリーランスのジャーナリスト&エディターとして活動。近著に『シングルモルトの愉しみ方』(学習研究社)があり、2015年3月に電子書籍としても発売される。

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