お酒の粋なたしなみ(第1回)

日本酒ブームを牽引する蔵元の新しい取り組みに迫る

2015.03.17 Tue連載バックナンバー

 日本だけでなく海外でも注目を集め、ちょっとしたブームになっている日本酒。しかも最近は、昔ながらの製法とは違う、新しいスタイルが浸透しつつあります。

 今回は日本酒の新時代を牽引するニュージェネレーションにフォーカスを当て、彼らの新しい取り組みをご紹介します。

 

今、日本酒が国内外で人気に

 日本酒離れが聞かれたのは昔のこと。世界的な和食人気を背景に、アメリカやフランスなどでは、毎月のように品評会やテイスティングが開催され、新たなファンを次々に獲得しています。2014年の日本酒の輸出額は対前年9.3%増となる115億円で、5年連続で過去最高額を記録しています。特にオーストラリアでの消費の伸びが高く、これが記録更新の要因になっているようです。

 また、国内に目を向けてみると、それまで右肩下がりで落ちていた消費も回復ムード。この日本酒の善戦を後押ししているのが若い女性たちです。

 昨今の健康ブームのなかで、日本酒の持つ美白、老化防止、血行促進などの効果に注目する人が増加。しかも最近は、これまでの常識を覆すフルーティーで飲みやすいものやシャンパンのように泡立つものなど、女性が親しみやすい種類も増えており、それがさらなる人気の火付けに。常に新しい味覚を追い求める女性のチャレンジ精神が日本酒の世界を広げているのです。

 

杜氏を廃止、社員だけで作った日本酒が世界に認められる

 こうした流れのなかで、今、昔ながらの酒造りにこだわらない新しい風が吹いています。

 その代表格とも言えるのが、山口県の旭酒造が製造している「獺祭(だっさい)」です。旭酒造では、製造する日本酒を最高峰の純米大吟醸酒に特化。しかも、これまで常識とされていた杜氏(日本酒を専門につくる職人集団)を廃止し、社員だけで酒造りをしています。

 かつて杜氏が行ってきた酒造りの記録データを元に、桜井博志社長が自ら杜氏となってお酒の研究開発を行い、3年の試行錯誤を経て今の社内スタッフによる酒造りのスタイルを完成させました。また、コンピューターシステムによる徹底したデータ管理によって、通常なら冬に始める酒造りの仕込みを、季節に関係なく年間を通して行えるようにしているのも特徴です。これによって純米大吟醸酒造りにこだわりながらも、生産能力を2倍に上げました。

 こうした型破りの手法で誕生した「獺祭」は、多くの日本酒ファンを虜にしています。

 気になる味ですが、すっきりとした淡麗な旨くちで、華やかな香気を帯びたキレと余韻の長さが魅力。“きれいな甘み”があると評価する人もいます。特にラインナップのなかで最高品質を誇る「獺祭 磨き二割三分」は、米の中心部にこだわり、その精米歩合は23%(つまり全体の77%を削り落としているということ)! 雑味が多い米の外側をたくさん削り落とすことによって、中心部の旨味が生かされます。非常に繊細な味わいを堪能することができ、贈り物としても人気です。

 そして、「獺祭」への評価は日本だけに留まりません。… 続きを読む

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堀籠 しゅん

堀籠 しゅん

フリーライター

流行通信勤務後、フリーランスとなりマガジンハウス、集英社、講談社などで編集・執筆を担当。航空会社情報誌、企業PR誌で国内外を回る。『シングルモルトファン』、『シングルモルトファン2』(共にコスミック出版)の編集・執筆を行う。近著は『宮城の法則』(リンダパブリッシャーズ)。メンズファッション、グルメ、ホビー、トラベルが得意ジャンルで、書籍やWEBにて活動中。

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