上永哲矢の「三国志、歴史を変えた決断」(第1回)

逃げに逃げて最後に笑う! 劉備という男の真骨頂

2014.10.03 Fri連載バックナンバー

 こんにちは、歴史コラムニストの上永(うえなが)です。本日より三国志の英雄の「決断」にまつわるコラムを担当させていただくことになりました。第1回は、一介の商人同然の身から「」の皇帝にまでなった英雄・劉備(りゅうび)を取り上げます。

 

三国志の主役は誰か?

『三国志』の主人公といえば、最近は曹操(そうそう)を推す声が強い。曹操は三国最大の勢力を誇った「魏」の創始者だ。確かに歴史書の『三国志』(正史)でも最初に紹介され、「時代を超える英雄」と高く評価されており、主人公として申しぶんない。

 しかし、本当の主人公は誰かといえば、やはり劉備ではないかと思う。それは一度でも小説『三国志演義』や、それをもとにした作品を読んだことのある方ならご存じの通り。多くの作品で劉備は最初に登場する主要人物であり、主人公として描かれているのは明らかだ。

 曹操はそれなりの身分の官僚だったのに対し、劉備は出身が元が豪族ながら、庶民(商人)同然の身分に落ちぶれているあたり、読者が肩入れしやすい部分といえる。

 

正史にも記された劉備最大の武器とは?

 『三国志演義』の劉備には、一見すると際立った特徴がない。「理想は高いが、いささか優柔不断な人」である。しかし、ほぼ「ゼロ」の状態から身を起こし、ついには皇帝となる男。しっかり読めばその本性が明らかになってくる。

 まず最大の武器は、生まれながらに備わっていたカリスマ性だ。「口数は少なく、喜怒の感情を顔に出さなかった。若者たちは争って劉備に近づこうとした」とは、正史『三国志』の記述。不思議と人を惹きつける魅力があったようで、関羽(かんう)・張飛(ちょうひ)・趙雲(ちょううん)のような豪傑が身を粉にして働いたのも、彼のカリスマ性によるところが大きいはずだ。

 そして、次に見るべき才は「ここぞ」という時の逃げ足の速さ。危うくなるや立ち去る、負けとみるや逃げる。まさに「逃げるが勝ち」という言葉を地で行った男なのだ。… 続きを読む

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上永 哲矢

上永 哲矢

歴史コラムニスト、フリーライター

各種雑誌・ムックに歴史や旅の記事・コラムを連載。戦国時代や幕末など日本史を得意分野とするほか、三国志歴30年以上の愛好家としてイベント・講演の企画運営や、三国志関連本の制作にも関わっている。神奈川県横浜市出身。「オフィス哲舟」代表。公式サイト:http://kakutei.cside.com/job/

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