続々登場!景色も料理も楽しめる「観光列車」の旅(第4回)

昭和時代にタイムトリップ!「レストラン・キハ」

2014.08.29 Fri連載バックナンバー

 独特のディーゼルエンジンの音を響かせながら走る国鉄時代の急行形車両「キハ28」。外観も車内の座席も昭和時代の国鉄車両の雰囲気をそのまま残したキハ28を使って、「ランチクルーズ」を楽しめる列車が、千葉県房総地方で週末を中心に走っています。その列車の名称は「レストラン・キハ」。第三セクター「いすみ鉄道」の路線、大多喜→上総中野→大原の間を約2時間かけて運行し、ランチを楽しみます。

 食事の種類は、2013年8月の運行開始以来、続々と増え続け、夏休み特別企画の列車も含めると、現在では合計7種類のプランがあります。週末を中心に運行しているのが、地元のイタリアンレストランが料理を提供する「イタリアンランチ クルーズトレイン」と、地元高級食材の伊勢海老を使った料理が自慢の「伊勢海老特急 お刺身列車」です。前者が一人1万2千円(内税・乗車券、急行券付)、後者が2人で2万2千円(内税・乗車券、急行券付)と、ランチにしては高額な料金設定にも関わらず、ネット販売開始直後にどんどん予約が埋まっていく人気列車となっています。

 この列車のアイデアを出したのは、大赤字の鉄道会社を復活させるため公募で社長に就任した鳥塚亮氏。航空会社に勤務していた時代から、列車の運転席から撮影した動画「前面展望動画」のDVD販売をする生粋の鉄道好きです。そんな社長だからこそ、JR西日本の高山本線で使用されていた古いキハ28を引き取り、レストラン列車にするアイデアが出たのでしょう。

 

昭和時代の懐かしさ満載!ツートンカラーの外観とブルーの四人掛けボックス座席

 国鉄時代のディーゼル車両を知る人にとって、こんなに懐かしさを感じる車両は、キハ28をはじめとする「キハ58系」よりほかにないでしょう。国鉄時代に急行形ディーゼル車両として製造されたキハ58系関連形式の車両数は、実に1,823両にも上り、史上最多のディーゼルカー形式として、地方には馴染み深い車両だからです。

 大多喜駅で受付をすると、最初に懐かしさを感じるのが硬券の切符です。昭和時代の旅情をとことん楽しむための粋な演出です。硬券切符は記念に持って帰れますので、鉄道好きの方への嬉しいお土産にもなります。

 車内に入ると、ブルーの四人掛けのボックス座席が、製造当時のままの懐かしい姿で出迎えてくれます。「レストラン・キハ」として運行の際は、座席に特別仕様のテーブルを設置して二人掛け座席になりますが、それでも国鉄車両の雰囲気はプンプンと漂ったままです。

 そして列車が走り始めると、懐かしい独特のディーゼルエンジンが響きます。ゴロゴロと唸るようなエンジン音に懐かしさを感じる人も少なくないでしょう。目で見て、音を聞いて、モケット(座席の表地)の感触とディーゼルカー独特の軽油と排ガスの匂いを懐かしむ。そこに地元食材をふんだんに使ったランチの味覚が加わり、まさに五感を研ぎすまして昭和時代を感じることができるのです。… 続きを読む

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中嶋 茂夫

中嶋 茂夫

株式会社中嶋商店代表取締役、阪南大学客員講師、鉄道ジャーナリスト、鉄道写真家

地域活性化をテーマにしたローカル線と、豪華寝台列車をはじめとする観光列車の観光効果をウォッチしている鉄道ジャーナリスト&鉄道写真家。「カシオペアVSトワイライトエクスプレス(洋泉社)」など著書多数。http://tetsubiz.nakajimashigeo.com/

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