続々登場!景色も料理も楽しめる「観光列車」の旅(第1回)

日本初の豪華クルーズトレイン「ななつ星in九州」

2014.08.07 Thu連載バックナンバー

 はじめまして。今回より観光列車の旅の魅力について連載を担当する鉄道ジャーナリストの中嶋茂夫(なかじましげお)と申します。観光列車やクルーズトレインによる地域活性化の分野に明るく、全国各地の観光列車の乗車ルポや専門家としてのコメントをテレビで行っています。Facebookページ「鉄道ジャーナリスト中嶋茂夫」でWeb配信もしておりますのであわせて活用ください。

 出張や旅行の際、「鉄道で移動する」と言えば、できるだけ速く目的地に着きたいもの。しかし、車内に座席以外の「食堂」「ラウンジ」「カウンター」などを備えた「観光列車」が、2013年から続々と登場し、旅行好きの女性やシニア層を中心に人気を博しています。

 今回からスタートするのは、観光列車に実際に乗車して、列車の魅力と人気の秘密を紹介する新シリーズです。第1回は特別企画として、観光列車の枠を飛び越えJR九州が2013年10月15日に運行を開始した日本初のクルーズトレイン「ななつ星in九州」を紹介します。

 

「豪華さ」と「おもてなし」のクォリティが圧倒的な高さ「ななつ星in九州」

 全国の寝台列車の廃止が進む中、「寝台列車」と「観光列車」の良さを昇華させ「クルーズトレイン」という新しい旅の形を生み出したのが、JR九州の「ななつ星in九州」です。博多駅を出発したあと、観光地を回って出発点の博多駅に戻るルートで運行され、「列車は移動のために乗る」という今までの概念を根底からくつがえしました。

 「ななつ星in九州」は、九州7県をまるでクルーズ船のように観光地を回りながら旅をすることから「クルーズトレイン」と呼ばれています。列車は2種類の運行ルートが用意され、1泊2日コースは、毎週土曜日に出発し、主に長崎、阿蘇、由布院観光し、列車内に宿泊します。対して、3泊4日コースは、毎週火曜日に出発し、由布院、宮崎、霧島、鹿児島、阿蘇を観光し、1日目と3日目は列車内で、2日目は霧島の妙見温泉の旅館に宿泊します。

 JR九州の車両デザインを担当する水戸岡鋭治氏が車両デザインを担当し、ディーゼル機関車につながれた7両の客車に用意された部屋は、わずか14室。定員2名のスイートが12室と、定員3名のDXスイートが2室のみで、列車の総定員数はたったの30名という贅沢な空間です。

 列車内でのサービスは、博多駅から乗り込む8人のクルーが、終点博多駅までお世話します。車両の豪華さがクローズアップされがちですが、「ななつ星in九州」の本当の楽しみは、旅での出逢いです。一緒に乗車するパートナーとの新たな出逢い、同乗するゲストとの出逢い、そして思い出深い旅となるようおもてなしをする8人のクルーとの出逢い。これらの出逢いは、「ななつ星in九州」の旅が終わったあとも、思い出の1ページとして強烈に刻まれます。まさに旅の思い出はプライスレス。今までになかった鉄道旅のスタイルを体験できます。

 

車内:プライベート空間もパブリックスペースも九州の“美”を用意

 入口ドアから車内に一歩踏み出すと、そこは別世界。「すりガラス」と「光」が織りなす美しい模様に思わず見とれてしまうほどです。廊下には約300枚のアート作品が飾られ、乗った瞬間から降りるまで、まるで美術館の中で過ごしているかのようなゆったりした気分に浸れます。

 部屋に入ると、そこはラグジャリーな空間。ゆったりしたソファが旅の疲れを癒してくれます。特にサニタリールームには、有田焼の名窯、故第十四代酒井田柿右衛門氏が制作した贅沢な洗面鉢や、ひのきの香りでいっぱいのシャワールーム、そして、オリジナルデザインのトイレが設置され、そこが列車の中であることを忘れてしまうほどです。

 このように、プライベート空間の部屋はもちろん快適なのですが、パブリックスペースも積極的に活用したいところです。… 続きを読む

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中嶋 茂夫

中嶋 茂夫

株式会社中嶋商店代表取締役、阪南大学客員講師、鉄道ジャーナリスト、鉄道写真家

地域活性化をテーマにしたローカル線と、豪華寝台列車をはじめとする観光列車の観光効果をウォッチしている鉄道ジャーナリスト&鉄道写真家。「カシオペアVSトワイライトエクスプレス(洋泉社)」など著書多数。http://tetsubiz.nakajimashigeo.com/

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