いつかは行きたい世界遺産ガイド(第8回)

神々が舞い降りた「聖地」の世界遺産

2014.10.20 Mon連載バックナンバー

 神による奇跡が行われた土地や宗教的な要所を「聖地」と呼ぶ。世界遺産には数多くの聖地が含まれている。

 これまでの記事では、「聖地が示す世界遺産の限界」で紹介したエルサレムやベツレヘム、「多くの登録基準を満たす“キング・オブ・世界遺産”」の泰山、「パワースポットとして有名な世界遺産の聖なる山」に登場した世界遺産の数々、「旅行者が立ち入ることのできない非開放の世界遺産」のアトス山などが一例だ。

 今回は聖地の中でも奇跡や伝説の舞台となった4つの世界遺産を紹介する。

 

聖書の奇跡の舞台「聖カトリーナ修道院地域(エジプト)」

 まずは映画『十戒』で有名な『旧約聖書』の出エジプト記のワンシーンを紹介しよう。

 紀元前13世紀頃、モーセがシナイ山で羊を追っていると突然柴が燃え上がり、炎の中に現れた神からヘブライ人(古代ユダヤ人)を約束の地カナンへ導くよう天命を受ける。

 モーセはエジプトのファラオ(王)の奴隷として働かされていたヘブライ人を率いて脱出を図るが、ファラオは軍を派遣して紅海の畔に追い詰める。そのときモーセが杖を天にかざすと炎の柱が立ち上がり、海がふたつに裂けて海底に道を作る。こうして一行は無事に紅海を渡り、シナイ半島へたどり着く。

 モーセはシナイ山に登って神から十の戒めを刻んだ石版=十戒を授かると、これを収めた箱、いわゆる契約の聖櫃(せいひつ)=アークを先頭に旅を続ける。なお、行方知れずとなったアークを探し求める冒険活劇がインディ・ジョーンズ・シリーズの『レイダース/失われたアーク』だ。

 6世紀にシナイ山の麓、柴が燃え神が姿を現した場所に礼拝堂が祀られ、やがて修道院が建てられた。これが聖カトリーナ修道院だ。現在のこの修道院はユダヤ教の聖地であるだけでなく、『旧約聖書』を聖典とするキリスト教、イスラム教共通の聖地として多くの巡礼者を集めている。

 

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長谷川 大

長谷川 大

世界遺産&旅行ライター

横浜国立大学卒業後、出版社勤務。三国志・戦国時代・幕末・ギリシア神話など、歴史ものを中心に編集・ライティングを行う。世界一周の旅を経てフリーの編集者・ライターとして活動中。これまでの訪問国数は68か国、世界遺産は182か所。All About「世界遺産」公式ガイド。http://allabout.co.jp/gm/gt/563/

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