いつかは行きたい世界遺産ガイド(第3回)

海外の世界遺産、はじめて行くならぜひここへ!

2014.08.04 Mon連載バックナンバー

 「オススメの世界遺産はどこですか?」

 よくこんな質問を受ける。世の中にはいろいろな価値観の人がいて、「エジプトに行ったけどピラミッドは見ていません」という人や、「マチュピチュは期待外れでした」なんていう人にも会ったことがあるので、断言しにくいというのが実情だ。

 それでも、あえて今回4件の世界遺産をオススメしたい。いずれも、なんの知識もなく楽しめて、海外旅行初心者でも比較的訪ねやすい世界遺産を選んでいる。

 4件に共通するのは、大自然がとにかくすばらしいこと。いずれも日本では見られない圧倒的な絶景が広がっている。そして文化遺産としての見所もキッチリ備えているところ。各地の歴史や文化を掘れば掘るほど物語が出てきて、その深さに感動するに違いない。

 

ジャングルにたたずむ驚異の遺跡「アンコール」(カンボジア)

 「あなたの好きな世界遺産は?」というアンケートをとると、間違いなくランク入りするのがマチュピチュ、ピラミッド、モンサンミッシェル、そしてアンコール。このうち、海外旅行初心者にまずオススメしたいのがアンコールだ。

 アンコールは単一の遺跡ではなく、アンコール朝が築いた数百に及ぶ遺跡群を示す。ジャングルや湖といった大自然と一体化した姿は神々しく、女神像デヴァダーやヒンドゥー物語を描いたレリーフなどの細部を見ても美しい。規模と繊細さが同居した稀有な世界遺産なのだ。

 ハイライトは、均整の取れた姿と細部の彫刻が美しいアンコール・ワット、巨大な菩薩像が立ち並ぶアンコール・トム、ジャングルと一体化したタ・プロームなどで、それぞれ単独でも世界遺産級の価値がある。

 マチュピチュ、ピラミッド、モンサンミッシェルはあまりに遠くて海外旅行初心者には過酷だが、カンボジアはそこまで遠くないし時差も少ない。2014年秋にはアジア・アトランティック・エアラインズが直行便の就航も予定している。

 

天下の名勝が会する名山中の名山「黄山」(中国)

 中国で名山と言えば五岳。しかし、「五岳より帰りて山を見ることなし、黄山より帰りて岳を見ることなし(五岳を見たら他の山を見ても楽しめない。でも黄山を見たらその五岳さえ楽しめない)」という言葉にあるように、五岳をまとめてもかなわないと言われるのが黄山だ。

 黄山の景観を生み出しているのが怪石・奇松・雲海のいわゆる「黄山の三絶」。この三つが相まって「仙人がいるとしたらこんな所だろう」というような山水画の世界を築き上げている。

 実際、数々の仙人伝説が伝えられており、黄山の「黄」は漢民族の祖といわれる黄帝が仙人となって天に昇ったことに由来する。そして聖職者たちの修行の場として道教の道観や仏教の寺院が建てられており、こうしたことから世界遺産リストには自然遺産と文化遺産、双方の価値を備えた複合遺産として登録されている。

 黄山に行くなら「上海→蘇州→杭州→黄山」のルートがオススメだ。蘇州は「東洋のベニス」と言われる水の都で、世界遺産「蘇州古典園林」、杭州はマルコ・ポーロが「世界でもっとも美しい」と評した町で「杭州西湖の文化的景観」がある。

 

海と山と星空で魅せる「ハワイ火山国立公園」(アメリカ)… 続きを読む

全文(続き)を読む

続きを読むにはログインが必要です。

まだ会員でない方は、会員登録(無料)いただくと、続きが読めます。

長谷川 大

長谷川 大

世界遺産&旅行ライター

横浜国立大学卒業後、出版社勤務。三国志・戦国時代・幕末・ギリシア神話など、歴史ものを中心に編集・ライティングを行う。世界一周の旅を経てフリーの編集者・ライターとして活動中。これまでの訪問国数は68か国、世界遺産は182か所。All About「世界遺産」公式ガイド。http://allabout.co.jp/gm/gt/563/

このページの先頭へ
Bizコンパス公式Facebook Bizコンパス公式Twitter