いつかは行きたい世界遺産ガイド(第2回)

夏休みに訪れたい、「海」の世界遺産

2014.07.22 Tue連載バックナンバー

 旅を続けている旅行者たちに話を聞くと、「行き着くのは自然だよね」というセリフをよく耳にする。人がどんなに力を尽くしても、自然の力・造形・色彩にはかなわないということなのだろう。

 そしてこの地球でもっとも特徴的な自然が「海」だ。海がなければ雲も雨も川もなく、浸食によって陸地がいまのような美しい姿になることも、生命が誕生することもなかった。

 今回はそんな海が満喫できる4つの世界遺産を紹介する。

 

生命が作り出す宝石の海、グレートバリアリーフ

 オーストラリアの世界遺産「グレートバリアリーフ」の全長は2,300km。本州の全長が1,300kmであることを考えるといかに巨大かよくわかる。これほど大きいと月からも眺められるわけだが、実はこの世界遺産、動物によって作られている。

 バリアリーフとは海岸と平行に走るサンゴ礁のこと。外海と陸地をバリアのように隔て、その間にラグーンと呼ばれる穏やかな浅瀬を築いている。そしてサンゴ礁はサンゴの身体で作られた岩のような塊で、サンゴは体長1cmに満たない動物を示す。

 サンゴはポリプという単体でいると一匹の動物として活動するが、ポリプが集まると互いを神経でつないでひとつの巨大な生物のようになる。そして海からミネラル分を取り込んで骨格を作り、岩のような土台を築く。これがサンゴ礁だ。

 サンゴはその形や色彩から世界中で宝石として珍重されてきた。つまり、この巨大な世界遺産は小さな動物が作り上げた宝石なのだ。

 原色で彩られたサンゴ、砕かれたサンゴや水晶でできたまっ白な砂浜、その上を乱舞する無数の魚たち。こうした景色を見れば自然がいかに愛おしくいかに大切か、ひと目で理解することだろう。

 

天国にいちばん近い島、ニューカレドニア

 「海をね、丸木舟をこいで、ずうっとずうっと行くんだ。するとね、地球の、もう先っぽのところに、まっ白な、サンゴで出来た小さな島が一つあるんだよ。それは、神さまのいる天国から、いちばん近い島なんだ」(森村桂『天国にいちばん近い島』角川文庫より)

 5つの輪で構成されるオリンピック・シンボルは、アジア、アフリカ、アメリカ、ヨーロッパ、オーストラリアの5大陸を示す。

 3億年前、これらの大陸はパンゲアというひとつの超大陸にまとまっていた。2億年前、オーストラリアとアメリカがパンゲアを離れ、1億年前にオーストラリアから島のかけらが離れ、さらにその島からニューカレドニアが分かれて太平洋を漂流しはじめた。

 ニューカレドニアは孤独な大陸から生まれた孤独な島。しかし、生命たちに大いに愛された。規模はグレートバリアリーフに及ばないがサンゴの種類はそれ以上。植物は4,000種にもなり、その80%以上が固有種だ。

 島が生み出す海の幸、山の幸は人をゆうに養うことができた。先住民族カナックはあまりに豊かで「物を所有する」という概念さえ持たなかったという。

 島はダイビングや釣りなどあらゆるアトラクションが楽しめるマリンリゾートだが、これほど「何もしない」ことの贅沢を楽しめて、神さまの恩寵が感じられる島は他にない。… 続きを読む

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長谷川 大

長谷川 大

世界遺産&旅行ライター

横浜国立大学卒業後、出版社勤務。三国志・戦国時代・幕末・ギリシア神話など、歴史ものを中心に編集・ライティングを行う。世界一周の旅を経てフリーの編集者・ライターとして活動中。これまでの訪問国数は68か国、世界遺産は182か所。All About「世界遺産」公式ガイド。http://allabout.co.jp/gm/gt/563/

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