ソチ五輪で輝いた日本のアスリートたち(第3回)

浅田真央、世界を魅了 苦難乗り越え到達した演技

2014.03.11 Tue連載バックナンバー

 音楽が鳴り止むと、浅田真央(23)=中京大=の表情が感涙で崩れた。その瞬間、中継を見ていた日本中の、いやおそらく世界中のフィギュアファンは、深い感慨に包まれただろう。2月20日(日本時間21日未明)に行われたソチ五輪フィギュアスケート女子フリー。人々が感銘を受けたのは、浅田の姿が「参加することに意義がある」という、さまざまに曲解されがちな近代五輪の理念を、その本来の意味において見事に体現したからではないだろうか。

 前日のショートプログラム(SP)で、浅田は失敗を重ねた。冒頭のトリプルアクセル(3回転半ジャンプ)で転倒。続く3回転フリップは回転不足と判定され、演技後半に組み込んでいた3回転—2回転の連続ループは単独の2回転に。予定していた3回転ジャンプすべてで失敗し、55.51点の16位。この時点で金メダルはおろか表彰台もほぼ不可能となった。

 集大成と決めた大舞台で異常に硬くなったのか、会場の独特の雰囲気にのまれたのか、直前の調整がうまくいかなかったのか……。動揺はおさまらず、翌朝の練習でも調子は悪いままだった。

 

苦闘の日々から大人の演技を身につけて

 1993年からスケートを担当していた筆者が、初めて浅田の演技を目にしたのは2002年の全日本選手権だった。まだ小6で、身長は姉の舞さんの半分くらいしかなかったと記憶するが、鮮やかに3連続3回転ジャンプを決めてみせた。山田満知子コーチの教え子に天才少女がいるとは聞いていたが、うわさにたがわぬすごさで、将来を大いに期待した。15歳になった3年後にはグランプリファイナルで優勝。2カ月後のトリノ五輪は年齢制限で出場できなかったが、誰もが4年後のバンクーバー五輪は金メダルと思っていた。… 続きを読む

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産経デジタル

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