世界遺産が世界遺産である理由(第9回)

世界遺産の登録方法と、今後の日本の世界遺産

2014.04.02 Wed連載バックナンバー

 2013年6月、「富士山-信仰の対象と芸術の源泉」が世界遺産に登録されて日本中が歓喜した。日本の世界遺産活動はその後も活発で、2014年に「富岡製糸場と絹産業遺産群」、2015年に「明治日本の産業革命遺産」が登録に挑戦する。

 今回はこの3件を例に、世界遺産登録までのプロセスを紹介する。

 

世界遺産を目指した富士山の歩み

 富士山の世界遺産登録の歩みは、日本が世界遺産条約を批准した1992年にスタートする。同年に静岡県と山梨県の有志が協議会を発足させ、自治体のバックアップの下で220万の署名を集め、国会へ働きかけを行った。

 しかし、2003年に富士山は環境省や林野庁が選定する自然遺産候補地から脱落してしまう。理由は、山の開発が進んでおり、ゴミ問題が深刻であるうえに、富士山がありふれた成層火山で自然遺産の登録基準を満たすのが難しいというものだった。

 富士山のいったいどこに普遍的価値があるのか?

 富士山の価値を根本から見直した結果、『古事記』や『日本書紀』の時代から神の山として祀られており、神道・仏教・修験道の寺社や登山道などが文化財として残されている点に注目。さらに、その姿・形が葛飾北斎『富嶽三十六景』をはじめとする日本の芸術文化を促進し、浮世絵が海を渡ってモネやセザンヌ、ゴッホらに絶大な影響を与えた点を評価して、文化遺産としての登録に転換した。

 2005年には静岡・山梨両県が中心となって文化遺産登録推進プロジェクトを発足。その活動が文化庁に認められて、2007年に世界遺産暫定リスト(後述)へ記載。そして2012年に推薦書をユネスコ(国際連合教育科学文化機関)に提出し、2013年に登録が決定した。

 

世界遺産登録のプロセス

 富士山の例のように、県や市町村といった自治体による立候補が世界遺産登録の第一歩だ。… 続きを読む

全文(続き)を読む

続きを読むにはログインが必要です。

まだ会員でない方は、会員登録(無料)いただくと、続きが読めます。

連載記事

世界遺産を味わう:メキシコの魂 テキーラ
長谷川 大

長谷川 大

世界遺産&旅行ライター

横浜国立大学卒業後、出版社勤務。三国志・戦国時代・幕末・ギリシア神話など、歴史ものを中心に編集・ライティングを行う。世界一周の旅を経てフリーの編集者・ライターとして活動中。これまでの訪問国数は68か国、世界遺産は182か所。All About「世界遺産」公式ガイド。http://allabout.co.jp/gm/gt/563/

このページの先頭へ
Bizコンパス公式Facebook Bizコンパス公式Twitter