「面白い」には理由がある!大ヒット漫画を分析(第2回)

人間社会に投下された天敵『寄生獣』!実験とドラマ

2014.01.15 Wed連載バックナンバー

 人間の頭部を乗っ取り、その人になりすましながら人間を捕食する寄生生物(パラサイト)。物語が始まってほどなく、「寄生」され頭部が風船のように膨らんだ旦那がカミさんの首をバツンと食いちぎる……このひとコマに「あ!」と息を呑まぬ読者はいなかっただろう。『寄生獣』の面白さを確約する、何とも衝撃的なシーンだった。2014年12月には完全実写化の映画が公開される。

 

「天敵投下」のシミュレーション

 物語は「人を食う」本能を持つ生き物、つまり「人類の天敵」であるパラサイトが人間社会に投下されるシーンで幕を開ける。物語の大枠、「もし人間社会に『天敵』が投下されたら」というシミュレーションのスタートだ。

 最初は行き当たりばったりで人間を捕食し、「ミンチ殺人」として世間を騒がせたパラサイトも、時間が経つにつれ学習し、巧妙に事件性を消しながら行動するようになる。

 一方の人間側は情報的にも脆弱なもので、なかなか「ミンチ殺人」の犯人あるいは「増加する失踪」の原因を掴めず、対策を立てられない。マスコミで都市伝説のような胡散臭さをまといながら、徐々に噂が広がっていく程度だ。やがて決定的な「島田秀雄事件」が起きて警察が状況を確信するに至るも、パニックを恐れ、また有効な手だてがないため情報は止められてしまう。秘密裏のまま警察は、私立探偵倉森のレポートから情報を得、状況を把握する警部補平間が中心になって、東福山市役所内のパラサイトを一網打尽に殲滅する作戦に打って出る。だがこれはとりあえずの「数減らし」に過ぎず、根本的な問題の解決になっていない。

 そう、これといって効果的な対策はなく、パラサイトが見つかれば一体ずつ駆逐していく、それ以外にないのだ。それなら人間に数で圧倒されるパラサイト側は、「栄養」を摂りさえすればいいのだから、「本能」を抑えてなるべく人間と同じような食事をして暮らし、正体を隠すことが、生き残る最善の策だと悟るだろう。… 続きを読む

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酒式/studio woofoo(www.studio-woofoo.net)

酒式/studio woofoo(www.studio-woofoo.net)

脱サラして漫画家を志し、週刊少年サンデーで漫画デビュー。その後さまざまに名前を変えて作品を出しながら、漫画の世界にしがみつく。日本酒党。

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