城メグリスト・萩原さちこの「名城に学ぶ」(第17回)

金沢城/“石垣の博物館” とも呼ばれる北陸の名城

2014.08.13 Wed連載バックナンバー

 こんにちは。城メグリストこと城郭ライターの萩原さちこです。前回の二条城の記事はいかがでしたか?人気の城や話題の城にスポットを当て、魅せられる理由や感じたことを、時にビジネス視点も交えながらお伝えするこの連載。第17回は、金沢城(石川県金沢市)です。

 

金沢城のオリジナル、鉛瓦と海鼠壁

 金沢城の最大の特徴は、ほかの城とは一線を画す、建造物のビジュアルでしょう。ほとんどの建造物が鉛瓦海鼠(なまこ)壁でつくられています。いずれも、現存する「石川門」と「三十間長屋」でじっくりと見ることができます。

 鉛瓦は、全国の城でも例がない金沢城だけのオリジナルの瓦。太陽の光を受けると、うっすらと雪をかぶったように白くキラキラと輝き、グラデーションがかかった風合いになります。鉛が用いられているのは、合戦のときに鉛瓦を溶かして弾薬にするという説もありますが、純度から考えると、あくまで美観と耐久性のためようです。鉛製の瓦ではなく、木製の下地に鉛板を貼りつけてカバーしています。

 海鼠壁は、酒蔵などの土蔵によくある、白と黒の格子模様の壁です。壁面に平らな瓦を貼り付けて、瓦のつなぎ目を板かまぼこのように盛り上げて、白い漆喰で塗り固めます。海鼠壁は下見板張りにするより耐火・耐水性にすぐれるため寒冷地でよく採用されていて、日本海側の城に多く見られます。

 

現存する石川門は必見

 唐破風付きの格子窓も、金沢城のシンボルのひとつです。石垣や櫓の壁面に設けられた大きな出窓で、巨大な石落にわざわざ格式高い唐破風をつけてデザイン性を高めているところに、築城した前田家のセンスのよさが光ります。床面の石落としから石垣をよじ登る敵を攻撃できるだけでなく、壁の左右の小窓から横矢が掛けられます。

 城内の現存建造物は、三十三間長屋、鶴丸倉庫、石川門で、とくに石川門は桝形虎口が完存する全国的にも数例しかない内桝形門です。宝暦の大火で焼失後、1788年(天明8)に再建されました。シルバーに輝く鉛瓦と幾何学的な海鼠壁が、白漆喰壁の美しさを際立たせ、黒い隅柱がシャープさをプラス。櫓も幅に対して高さがあり、鈍い緑色を放つ銅板張りの唐破風付格子窓が壁面を飾るなど、抜群のプロポーションです。

 

現在の金沢城のシンボル… 続きを読む

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萩原 さちこ (城メグリスト)

萩原 さちこ (城メグリスト)

城郭ライター、編集者

執筆業を中心に、メディア出演、講演、講座もこなす。著書に『わくわく城めぐり』(山と渓谷社)、『戦国大名の城を読む』(SB新書)、『日本100名城めぐりの旅』『「現存」12天守めぐりの旅』(学研パブリッシング)、『お城へ行こう!』(岩波ジュニア新書)など。『月刊歴史読本』(KADOKAWA)で「萩原さちこのこだわり城郭探訪」連載中。文化財石垣保存技術協議会会員、日本城郭検定公式サポーター。公式サイトはhttp://46meg.jp

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