城メグリスト・萩原さちこの「名城に学ぶ」(第11回)

松山城/迷うのが楽しい、巨大迷路のような城

2014.05.18 Sun連載バックナンバー

 こんにちは。城メグリストこと城郭ライターの萩原さちこです。前回の大坂城の記事はいかがでしたか?人気の城や話題の城にスポットを当て、魅せられる理由や感じたことを、時にビジネス視点も交えながらお伝えするこの連載。第11回は、松山城(愛媛県松山市)です。

 

ゲーム感覚で楽しめる城

 道後温泉や小説『坂の上の雲』の舞台地として知られる観光地・松山。街のシンボルとなっているのが、松山市の中心部にある標高132メートルの城山(勝山)山頂に本丸を置く松山城です。2007年(平成19)には、道後温泉とともに「美しい日本の歴史的風土100選」に選定されています。

 松山城の最大の魅力は、設計の妙を体感できること。迷うのが楽しい、巨大迷路のようなお城です。いたずらのようなトラップ、なるほどと膝を打つ巧妙なしかけ、度肝を抜かれるダイナミックな攻撃設備。裏の裏のさらに裏をつくような、心理作戦も織り交ぜたワンダーな世界が広がります。敵兵になったつもりで歩くと、バーチャルゲームのような感覚で城攻め体験ができます。

 

数々のトラップが敵を翻弄する

 くねくねと折れ曲がる通路のいたるところに、敵を翻弄するトラップが隠されています。もっともワクワクするのが、大手門跡脇の通路です。

 石垣を右手に進もうとすると、正面に太鼓櫓、その左奥には中の門跡、さらに奥に小天守が見えます。いよいよ天守エリアが視界に入り気持ちが高ぶりますが、天守の方向にあたる中の門方面は、直進すれば袋のねずみになるおとりの道。右手の太鼓櫓の下を180度ぐるりとU字に折り返して上り坂へと進むのが、正しいルートなのです。間違えずに正しいルートへ進んだとしても、中の門は背後になり、挟み撃ちは必至です。

 ここを突破しても、気は抜けません。さらにその先に、城内最大のトラップが待ち受けます。

 坂道を駆け上がり小さな戸無門をくぐり抜けると、すぐ左手に立ちはだかるのが、城内最大の筒井門。戸無門を抜けると急に道幅が広くなるため、つい威勢よく筒井門に飛び込みたくなります。しかしその奥に、隠門と呼ばれる小さな奇襲用の門が潜むのです。

 扉のない開放的な戸無門で油断させた後は、… 続きを読む

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萩原 さちこ (城メグリスト)

萩原 さちこ (城メグリスト)

城郭ライター、編集者

執筆業を中心に、メディア出演、講演、講座もこなす。著書に『わくわく城めぐり』(山と渓谷社)、『戦国大名の城を読む』(SB新書)、『日本100名城めぐりの旅』『「現存」12天守めぐりの旅』(学研パブリッシング)、『お城へ行こう!』(岩波ジュニア新書)など。『月刊歴史読本』(KADOKAWA)で「萩原さちこのこだわり城郭探訪」連載中。文化財石垣保存技術協議会会員、日本城郭検定公式サポーター。公式サイトはhttp://46meg.jp

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