銘酒ふれあいの旅(第8回)

銘酒は「土蔵」の中で育ち、千石船で江戸に向かった

2013.10.25 Fri連載バックナンバー

 「銘酒ふれあいの旅」にアクセスいただきありがとうございます。株式会社ミントスの大石敏夫です。今回は、知多半島の伝統の銘酒「子乃日松」と日本の代表的な発酵食品について考えてみたいと思います。常滑の蔵元「盛田」が育んだ発酵食品、日本酒、味噌、醤油、それらを千石船に積んで江戸に運んだ常滑の廻船問屋「瀧田」。江戸の食を支えた豪商の栄枯盛衰をお伝えしたいと思います。

 

知多半島常滑の今は昔―廻船問屋瀧田家

千石船 名鉄名古屋駅から名古屋本線特急中部国際空港行きに乗り、約30分で常滑駅に着く。
 常滑市の沖合に中部国際空港セントレアができ、名古屋圏の空の玄関になったが、乗客は素通りしてしまい、常滑自体は昔とあまり変わってはいない。駅を出て通りを南に下り5分程でルミナス常滑が見えてくる。その角を左折し100メートルほど行くと、目指す「廻船問屋 瀧田家」にたどり着いた。正門の上に「廻船問屋 瀧田家」と書いた大きな看板がある。門をくぐると江戸の趣を残す大商家の世界であった。白い大きな帆を張った千石船の模型や、無尽灯、瀧田家の紋所が入った大きな葛籠などが展示されている。

 私はこの瀧田家に思い入れがある。若い頃の上司であり、尊敬する郷里の大先輩でもある瀧田あゆち氏の実家がこの瀧田家なのだ。日本航空で女性初の部長職になり、関連団体の役員まで務められた経歴もさることながら、“ああ、この人にはかなわない!”と感じさせる堂々としてしかも優雅な気品があゆちさんにはあった。柔らかな笑顔を常に絶やさず、相手に“この人の言うことなら間違いなかろう”と思わせてしまう人徳が備わっていた。
 これは本人の努力や持って生まれた才能によるものであろうが、私はあゆちさんの育ちの良さも大きな要因だと思っている。美しいものしか見てこなかった人間は醜いものを見ないものだ。あゆちさんはおおらかに人の良い点だけを見ていた。だから人に好かれた。私は、ちゃっかり自分の行うヒューマンリソース・マネージメント(人材育成)の研修でこのことを使わせていただいている。つまりこうだ、「部下の心をつかみ、やる気にさせるためには、まず長所を認め心から褒めること」。

 瀧田家は生涯独身であったあゆちさんで途絶え、1850年に建てられた屋敷は彼女の遺志により常滑市に寄贈され、常滑市有形文化財として現在一般公開されている。… 続きを読む

全文(続き)を読む

続きを読むにはログインが必要です。

まだ会員でない方は、会員登録(無料)いただくと、続きが読めます。

大石 敏夫

大石 敏夫

株式会社ミントス 代表取締役社長

1972年日本航空株式会社入社、勤労部、客室乗員訓練部、日航財団事務局長、運航乗員訓練部副部長等を務め、JALシミュレーターエンジニアリング常務取締役にて2007年退職。主に人材管理・育成部門を担当。
現在、ビジネスマナー、コミュニケーション中心とした研修会社、株式会社ミントスを経営するかたわら、大学にて講義を行っている。元桜美林大学特任教授、城西国際大学講師、日本観光研究学会会員、日本国際政治学会会員、メンタルヘルス資格(ラインケア)。

このページの先頭へ
Bizコンパス公式Facebook Bizコンパス公式Twitter