元客室乗務員が教える経営者のためのビジネスマナー(第3回)

江戸の粋・江戸仕草を見直しましょう

2013.08.19 Mon連載バックナンバー

 皆さまこんにちは。私は株式会社ミントスのビジネスマナーインストラクター大石信子と申します。7月にスタートしたこのコラムも3回目を迎えました。今回は「江戸の粋・江戸仕草」についてお話いたします。
 「江戸仕草」という言葉をご存じでいらっしゃいますか?少し前の日本人でしたら「江戸仕草」という言葉はご存じなくても「あっ、そんなことか」と、知っているというより何気なくしているという方がピッタリするかもしれないことです。

 

こぶし腰浮かせ

 江戸時代、渡し船はお互い様の乗合船であり、狭い船の中で譲り合うのは当たり前。ほんのちょっと腰を浮かし、こぶしひとつくらいを譲り合えば、簡単に空き席ができたという教えです。
 現在の乗合船である電車に置き換えてみましょう。朝の通勤電車、ただでさえ込み合っているのに両脇に隙間をあけてイスに座り、スマホに熱中している人を見かけると、この江戸仕草を教えてあげたくなりますね。周りを見るゆとりを持って恥ずかしがらずに「こぶし腰浮かせ」してみましょう。お互いさまです。こんなちょっとしたことで優しい気持ちが生まれます。
 先日、映画『RAILWAYS 49歳で電車の運転手になった男の物語』に登場した「一畑電車」に乗る機会がありました。一畑電車は、島根県松江市の宍道湖畔にある「松江しんじ湖温泉」駅から、「平成の大遷宮」でにぎわっている「出雲大社前」まで1時間ほどかけて走っています。
 宍道湖を眺めながらのんびりと電車の旅が楽しめます。ワンマン電車で、なんと自転車でも乗れるのです。イギリスの列車も自転車で乗り込む人が多数いますが、日本でもこんな電車があるのですね。私が乗ったのは平日の昼間でとても空いていました。通路を挟んで両側の長い椅子に中学生らしい女の子が向かい合って座り、大きな声で楽しそうにおしゃべりしていました。この電車だったら「こぶし腰浮かせ」も必要ないなとうらやましく思えた時間でした。

 

束の間つきあい

 渡し船でたまたま乗り合わせた人とも、和やかに挨拶をかわして、会話を楽しむことを言います。
 一昔前、といってもそんなに昔ではありませんが、バスや電車で隣に座った人と軽く挨拶をしたり、すれ違う際、にこっと会釈をしたりという光景をよく見かけました。いつの間にか、隣にいる見知らぬ人は無視するようになり、自分の仲間以外はまるでものか何かのように感じているとしか思えない人が増えてきました。目があっても仏頂面をしている人や、電車の中で人目もはばからずお化粧をしている女性を見ると悲しくなります。
 一度混雑している電車の中で、素顔から完璧にメイクされた顔の出来るまでを見せられたことがあります。恥じらいを忘れたこの女性を美しいとはとても思えません。マナーの基本は相手に対する思いやりの心です。… 続きを読む

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大石 信子

大石 信子

株式会社ミントス 取締役副社長

日本航空株式会社 客室乗員部 国際線客室乗務員・ビジネススクールスチュワーデス課講師・JALコーディネーションサービス(現JALアカデミー)接遇マナーインストラクター・大手金融機関CS指導員を経て2007年に株式会社ミントスを設立、取締役副社長に就任。2008年より城西国際大学観光学部ビジネスマナー講師として教鞭をとる。
接遇マナーインストラクターとして20余年、主に金融機関、介護福祉施設を中心に年間100回近くの研修、講演の依頼がある。
株式会社ミントス http://mintos.jp

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