新任営業部長・榊原は業務改革をどのように進めたか(第8回)

(続)変革をめざす活動は組織内に浸透するのか

2013.10.27 Sun連載バックナンバー

  会社が市場から取り残され、このままではまずいと考えているが、変革に向けた第一歩を踏み出すためのヒントが欲しい方、必見。

 創業38年、従業員数300名の中堅企業で突然営業部を率いることになった新人営業部長・榊原が取り組んだ12ステップの業務改革を紹介する。
 ステップ8では、榊原が営業本部長の高橋から呼び出しを受ける。業績低迷の責任を問う高橋に榊原はどう応じるのか。

 

曙テクノの市場適応力を低下させる内向きの企業文化

 本部長の高橋に呼び出された榊原は一通りの営業進捗状況を報告した。その後の高橋の質問や発言を聞くと、なにがなんでも早い段階で榊原に白旗を上げさせたいという意図がうかがえた。高橋としては、榊原自身の口から「私の能力では対応できません」という発言を得たいのだ。そうすれば大手を振って第二営業部に手を入れられる。つまり、やり方を変えさせることができる。
 高橋にしてみれば、榊原は営業の素人だ。たとえば、第一営業本部のホープである山野に第二営業部長を兼務させ対応するという方法も十分にあり得る。しかし、榊原が投げ出さない状況で、そのような一方的な手段を用い、万一でもさらに業績が低下するようなことがあれば、それは高橋の責任として自分に跳ね返ってくることになる。
 榊原には高橋の胸中が手に取るように分かった。おそらく、第二営業部の前任者が体調を崩し長期の休暇に入ったことにも、このような高橋の自己中心的な保身行動が影響しているのであろう。日ごろ物分りの良いリーダーであるかのように振舞っているだけに、たちが悪い。
 かたわらで高橋と榊原のやり取りを聞いていた山野が進言した。「本部長、榊原部長から業績をリカバリーするためのプランを提示していただいてはどうでしょうか?今日の説明では何をしたいのか分かりません。プランを拝見したうえで、今後の方針を議論したほうが効率的だと思います」
 高橋は、第二営業部を担当してまだ1年にも満たない榊原をこの場で糾弾しつづけても、かえって自らの任命責任に跳ね返ってくるという可能性と、一旦榊原から責任者として主体的にプランを出させ、責任の所在を明らかにしておくことのメリットに気付いたようだ。しばし考えこう言った、「これはあなたのマネジメントの点検だ。資料は明日までに用意し、改めて午前中に説明に来てもらいたい」。その一言でようやく本部長室から解放された。

 それにしても……、榊原は思う、仮に業績低迷の全責任を自分に取らせ、方々でそれを吹聴することで今期は逃れたとして、来期や再来期、やはり同じように業績が上向かなかった場合はどうするのか?このビジョンなき内向的な企業体質が曙テクノを弱体化させているのではないだろうか……、榊原の暗澹たる思いは深まるばかりであった。… 続きを読む

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NTTラーニングシステムズ

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人材コンサルティング部 コンサルティングユニット

「業務変革のスモールスターター」を標榜し、今までの仕事のやり方を変え、自走できる組織作りを支援。事業開始から15周年を迎え、これまでに聞いたお客様の業務変革・人材育成上の課題は2万件を超える。本連載では、弊社が変革をご支援した複数の企業の取り組み事例を組み合わせ、わかりやすい小説仕立てのストーリーを構築した。

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