新任営業部長・榊原は業務改革をどのように進めたか(第2回)

「変革のオーナー」を得て、榊原は腹をくくる

2013.07.31 Wed連載バックナンバー

 会社が市場から取り残され、このままではまずいと考えているが、変革に向けた第一歩を踏み出すためのヒントが欲しい方、必見。創業38年、従業員数300名の中堅企業で突然営業部を率いることになった新人営業部長・榊原が取り組んだ12ステップの業務改革を紹介する。
 ステップ2では、現場のリーダー・榊原を見守る「変革のオーナー」が登場する。

 変革のオーナーを得て、榊原は腹をくくる

 

曙テクノの強みと弱み

「どう説明するか……」。通勤途上の榊原の頭の中は堂々巡りを繰り返していた。上司である営業本部長の高橋にどう現状を説明し、今のやり方を変える必要性をどう理解させればよいのか思案が定まらないのだ。
 かつての曙テクノの強みの一つは間違いなく組織力だったように思われる。その頃、競合の中堅会社の多くは、市場の急激な拡大に伴い組織を拡大したが、次第に会社としての力を失い市場から消えていった。
 しかし、曙テクノは組織の急成長をしっかりコントロールし、ヒエラルキーを構築しながら、市場の荒波を一枚岩で乗り切ってこれまでやってきた。「だが……」と榊原は思った、「そのヒエラルキーが今の曙テクノの弱みにもなりつつあるのではないだろうか……」。実際、第二営業部の仕事の進め方を変えようとしても自分だけの裁量ではなかなか取り組みを進めることができない。どうやって本部長の高橋を説得するかが最初の鍵となるだろう。

 

変革のオーナーをつくる

 榊原は、まず相談という形で上司の高橋と話すことにした。出社してすぐに秘書に連絡を入れ、今日の本部長の予定を確認した。午後に少し空き時間があるということだったので、予定を登録してもらう。
 榊原の持つあるべきリーダー像から考えると、仮に取締役営業本部長という肩書きを持っていたとしても、部下の相談には門戸を開き、気軽に話せる雰囲気を作り出すべきではないかと思う。だが、曙テクノでは、従業員が300名という規模にも関わらず役員と部下が直接自由に話すといった雰囲気がまったくなかった。
 以前、榊原が管理本部に籍を置いていたときに、色々と現場の問題解決を上司の管理本部長に上申したが、影では随分煙たがられたと聞いている。その際、その取締役管理本部長は、「榊原は曙テクノの突然変異じゃないのか?」と漏らしたと噂を聞いた。自分としては、もっと現場の人が働きやすい状況を作らねばと使命感を持っての提言だったのだが。
 いずれにしても、営業本部長の高橋にどんなに煙たがられても、第二営業部の状況を変えていくために、その取組みへの合意を得なければならない。少なくともストップをかけられるような事態を避けるためにも、変革のオーナーをつくらなければならなかった。

 

営業本部長の意外な反応

 榊原は午前中に手早く現在の営業活動状況や抱えている課題をまとめた資料を作成した。これもヒエラルキーの弊害だろうか、部下が気軽に上司と相談するということが許されず、相談事を事前に資料にまとめたうえで説明する必要がある。時には資料の書き方がまずいとつき返されることもあるのだから、結局上司への報連相が実施されなくなるという悪循環を招いている。
 榊原は第二営業部において余分な社内資料作成を減らし、説明は口頭でよいというルールを作ったほどだった。社内説明にそんな時間をかけるくらいなら、もっと良い提案書を書く方にまわすべきだという考えだった。… 続きを読む

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NTTラーニングシステムズ

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人材コンサルティング部 コンサルティングユニット

「業務変革のスモールスターター」を標榜し、今までの仕事のやり方を変え、自走できる組織作りを支援。事業開始から15周年を迎え、これまでに聞いたお客様の業務変革・人材育成上の課題は2万件を超える。本連載では、弊社が変革をご支援した複数の企業の取り組み事例を組み合わせ、わかりやすい小説仕立てのストーリーを構築した。

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