新任営業部長・榊原は業務改革をどのように進めたか(第12回)

変革の軌跡を語り継ぎ、第二・第三の榊原を育てる

2013.12.29 Sun連載バックナンバー

 創業38年、従業員数300名の中堅企業で突然営業部を率いることになった新人営業部長・榊原が取り組んだ12ステップの業務改革を紹介する。

 ステップ12では、一度信頼を失った顧客から榊原がついに契約を勝ち取る。上層部の人事異動をきっかけに、変革への道は、より広い、あらたな眺望を榊原にもたらそうとしていた…。

 

団体競技の勝利

 B社のキーマンである調達部門の山中氏から電話をもらった日、榊原は12月中旬に作成しておいた詳細な提案書を再確認し、館林を同行してB社に急行した。この流れも、顧客の課題解決パートナーになるというビジョンを実現するための標準的な営業プロセスに整理されている。
プロセスは大きく2段階に別れる。第1段階は、聞き取った課題に会社として真摯に応えるため、論理的な考察のもと、この業界のプロとして責任を持ったベストの解決策を提示するステップである。決して、自社の商材を前面に出すのではない。無論、顧客が自社の商材に紐付けた解決策を期待している場合、その期待に即応して、自社の商材による課題解決策を優先する。

 こうして売り込み姿勢を極力押さえ、顧客の信頼を得つつ、課題解決策のロジックを聞いてもらう。それが自社にとって有効であるという妥当性や自社へのフィット感を確認してもらった上で、「よし、曙テクノの話をもっと聞いてみよう」と考えてもらえると、提案の第2段階に移る。

 第2段階では、自社商品やサービスによる具体的な解決策を提示する。顧客の目線に立って、顧客のお困り事ややりたい事を実現するための詳細な商品・サービスの提案をするという流れだ。こういった2段階での提案が実践されるのも、「顧客の課題解決パートナーになる」という部のありたい姿、ビジョンが共有されているからだ。

 そして、このビジョンを実現するための標準営業マニュアルにはこうある。「顧客に第1段階の提案を実施したら、2週間以内に第2段階の提案をまとめておく」。これは、鶴井の経験に基づく教訓を反映したものだ。鶴井は、第1段階で顧客に好感触を得ながらも、第2段階まで時間を空けすぎて提案機会を逸したことがあった。「顧客が熱い内に次の提案を実施すべし」。これが鶴井の信念になった。

 こうして第二営業部では、「個人競技」を基本とした営業活動から脱却し、メンバー同士が成功や失敗経験から得た教訓を交換しあい、チームとしてより多くの成果をめざす「団体競技」を実現しつつあったのだ。

 

B社の判断

 榊原は、B社の受付から山中を呼び出した。山中は、「まさか今日来てくれるなんて考えていませんでしたよ。我が社の課題解決パートナーになりたいという榊原さんの言葉は本気だったんですね」と喜んでくれた。

 「山中さん、ぜひこの提案をご検討いただき、役員への説明にご活用ください」榊原は、山中が役員に対して説明する状況を想定して具体的な話を心掛けた。話を聴き終えた山中は、このまま待っていてほしいという。1時間ほどし、山中が上司の役員を伴って現れた。… 続きを読む

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NTTラーニングシステムズ

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人材コンサルティング部 コンサルティングユニット

「業務変革のスモールスターター」を標榜し、今までの仕事のやり方を変え、自走できる組織作りを支援。事業開始から15周年を迎え、これまでに聞いたお客様の業務変革・人材育成上の課題は2万件を超える。本連載では、弊社が変革をご支援した複数の企業の取り組み事例を組み合わせ、わかりやすい小説仕立てのストーリーを構築した。

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