新任営業部長・榊原は業務改革をどのように進めたか(第1回)

榊原、リーダーとして覚悟を決める

2013.07.30 Tue連載バックナンバー

 会社が市場から取り残され、このままではまずいと考えているが、変革に向けた第一歩を踏み出すためのヒントが欲しい方、必見。創業38年、従業員数300名の中堅企業で突然営業部を率いることになった新人営業部長・榊原が取り組んだ12ステップの業務改革を紹介する。
 ステップ1では、榊原がリーダーとしての覚悟を決めるまでを描く。

 榊原、リーダーとして覚悟を決める

 

昨日の上半期反省会の模様

 秋の気配がする9月下旬。榊原は、いつも通り朝食を済ませ、新聞に目を通していた。だが、頭の中では昨日の出来事を反芻している自分に気付いていた。
 榊原は、曙テクノ株式会社 第一営業本部 第二営業部の営業部長である。曙テクノ株式会社は、1975年創立の伝統ある会社で、半導体商社業界では中堅の会社である。創業以来市場の動向をいち早くキャッチし、新しいサービスを実現することで知られている。しかし、今起こっている市場の変化に対しては鈍感すぎるのではないかとさえ榊原には思える。
 榊原は、今年の3月までは、企画本部で仕事をしていた。営業部での業務経験はほとんどなかったが、前任者が体調を崩し長期の療養に入った為にこのポストについた。

 以来、第二営業部の責任者として不慣れな営業マネジメントを四苦八苦しながら進める毎日だ。日に日に危機感も高まってきた。部の本年度の営業目標が50億円だというのに、目下の見込み案件をすべて足しこんでもそれには及ばないのだ。
 その危機感に拍車をかけるのがリーダー(課長職)や社員の意識の持ち方だった。昨日、上半期が終わろうとする現段階で、部のメンバー全員で反省会を開いた。その席上、榊原から、現時点での数字の達成状況や不足分を周知、榊原から見た際の問題提起などをした。
 それに対して、一人ひとりに意見を求めると、「目標が高すぎる」、「営業戦略が悪い」、「扱う製品に競争力がない」、「取引先のキーマンが問題だ」などと他責発言があいついだ。
 それ以降、その模様がグルグルと頭の中で反芻されるばかりで、どうすればいいのか途方に暮れていた。

 

着任以降の取り組み

 榊原は、4月1日に本ポストに着任以来、とにかく営業の仕事に慣れることを優先して取り組んだ。また、同時に営業マネジメントがどういったものなのかということも部下のリーダー(課長職)らに話を聞きながら自分なりに工夫を重ねた。
 第二四半期になって、榊原も自身の考えに基づいた打ち手を試し始めた。その一つが、営業活動の見える化だった。実際のところ、営業支援システムが導入されているのだが、メンバーは殆ど顧客訪問履歴を入力しなかった。また、案件の進捗状況もかなりの曖昧さで、そのツールに入力された情報を元に営業進捗状況を判断しようとしても不可能だった。
 そこで、メンバーに対して、システムへのデータ入力を励行するところから独自色を出し始めたのだ。ところが、それまでは素人の営業部長に対して比較的寛容に振舞っていたメンバーからあからさまな反発が生じた。担当者の安藤江梨花は、「管理の為のデータを入力しても仕方がないと思います。どうしても入力する必要があるのなら、営業活動を圧迫しないよう、データ投入担当者を増員してください」と反論する始末だ。
 そこで、ミーティングや担当者との同行訪問時の会話を武器に案件の状況などをリアルに把握しようと取り組んだ。一定の成果は得られたが、リーダー(課長職)からの反発があった。藤代課長には「メンバーのマネジメントは私達課長職に任せて下さい」と言われた。

 

得意客からの突然の契約先変更依頼

 だが、もう後がないということを感じさせる象徴的な出来事が8月下旬に起こった。得意先B社のキーマンである山中氏から直接榊原に連絡があり、担当者を交えず責任者同士で一度話したいとのことで、榊原は容易ならざるものを感じた。… 続きを読む

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NTTラーニングシステムズ

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人材コンサルティング部 コンサルティングユニット

「業務変革のスモールスターター」を標榜し、今までの仕事のやり方を変え、自走できる組織作りを支援。事業開始から15周年を迎え、これまでに聞いたお客様の業務変革・人材育成上の課題は2万件を超える。本連載では、弊社が変革をご支援した複数の企業の取り組み事例を組み合わせ、わかりやすい小説仕立てのストーリーを構築した。

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